2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の認知症予防に対するグループ回想法の有効性の実証的検討
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23730671
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
野村 信威 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (90411719)
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Keywords | 老化 / 高齢者 / 認知症 / 回想法 / 北米もしくは欧州の研究者との国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ひとつは高齢者の認知症予防に対するグループ回想法の有効性を実証的に検討することである。もうひとつは回想法による効果例と非効果例の比較などから,どのように過去を回想することが心理的効果を導くのかを検討し,日本の高齢者の回想の特徴と効果的な回想法の実践方法を検討することである。 平成24年度は、首都圏のシルバー人材センターに登録する高齢者65歳以上の在宅高齢者10名を対象として8セッションからなるグループ回想法を実施した。その前後には認知機能検査(MOCA)および質問紙調査を実施した。また同様に在宅高齢者12名に対して心理検査および質問紙調査を施行し,これらの比較を行ってグループ回想法の効果評価を行った。 その結果として,いくつかの指標において回想法前後で認知機能および心理的well-beingが改善した可能性がうかがわれた。しかしながらこれらの改善は統計的には有意ではないため,次年度も引き続いてグループ回想法を実施することでより多くのデータを収集し,統計的に充分なデータ数を確保する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度はグループ回想法を実施し,その効果評価を検討することが出来たため全体としての研究は順調に達成されていると言える。しかしながら回想法に参加したデータ数はまだ充分とは言えないため,引き続き次年度もグループ回想法を実施する予定である。 また,昨年度に予定されていた欧米における高齢者への質問紙調査の実施は,海外での協力者が未定であるため今年度の実施についても目処はついていないものの,海外との比較については研究計画から除外することも検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,引き続いてグループ回想法を実施し,認知機能および心理的well-beingへの効果を検討するとともに,これまでの参加者の承諾のもとで得られた回想法における音声記録をもちいて,回想法の効果と回想内容との関連についての質的分析を試みる予定である。 また今年度に予定されている回想法研究者による国際学会(9th Biennial Reminiscence and Life Review Conference)に参加し,改めて海外の研究協力者を募ることで,質問紙調査結果の海外との比較についても取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究計画を実施するため、平成25年度は主に介入研究における研究対象者への謝礼、回想法スタッフの人件費、介入研究の実施および音声記録の質的分析のために要する諸経費に加えて,国際学会への参加に要する渡航費と研究協力者が得られた場合には共同研究のための諸経費や謝礼などを支出する予定である。 また昨年度までに実施した研究の報告書や学術論文の執筆のために必要となる書籍や文献,パソコン関連の備品や消耗品などの購入の支出を予定している。
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