2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の認知症予防に対するグループ回想法の有効性の実証的検討
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23730671
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
野村 信威 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (90411719)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症予防 / 高齢者 / 回想法 |
Outline of Annual Research Achievements |
回想法(Reminiscence Therapy)とは高齢者に過去を想起して語るように促すことで様々な心理的効果を促す対人援助手段のひとつである(Butler,1963; Lewis & Butler,1974)。日本でも医療,福祉,介護場面など高齢者に関わる様々な場面で実践されており,その有効性が繰り返し指摘されている。近年では認知症の予防効果をもつ可能性も指摘されているものの,その実証的検討は未だに不充分なままである。 本研究の目的は,高齢者の認知症予防に対するグループ回想法の有効性を実証的に検討すること,そして回想法による効果例と非効果例との比較を通して,どのように過去を回想することがより心理的効果を導くのかについて検討することである。 平成24年度および25年度には,首都圏のシルバー人材センターに登録する65歳以上の高齢者を21名に対して8セッションから成るグループ回想法を実施し,介入前後に認知機能検査であるMOCAおよび前頭葉機能検査FABの一部を測定することで回想法の認知機能への効果を検討した。 群および測定時期を要因とする2要因分散分析をMOCAに対して行った結果,測定時期による有意な効果が認められた一方で交互作用は有意ではなく,回想群だけでなく統制群でも2回目の測定でMOCAの得点の増加が認められた。その理由としてMOCAの検査項目に学習効果があることが考えられたが,認知機能の改善が回想法に参加したことによるものかどうかは明らかでなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度までの結果からはグループ回想法による認知機能への有意な効果が認められなかったことから,研究計画の見直しが迫られた。そのため平成26年度には一時的に研究の実施を中断させて学会発表の機会を設け,途中経過を発表するとともに近接する研究領域の研究者からアドバイスを得る機会を得た。その結果として,追加で研究対象者を補うことで改めて回想法の効果を検討することとし,研究の実施を平成27年度に延長することで追加の介入研究を実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は改めてグループ回想法による介入研究を9ないし10名の高齢者に対して実施し,昨年度までのデータを補って回想法による認知機能への効果を検討する。さらにこれまでの研究対象者から認知機能が明確に改善した者とそうでない者を若干名ずつ選抜し,それらの対象者間における語りの内容やその他の特徴の相違を検討し,認知機能に効果をおよぼす回想への関わりの特徴について検討するものとする。
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Causes of Carryover |
平成26年度は研究計画の見直しが求められたことから,グループ回想法による介入研究の実施を見合わせた。このため本研究の研究期間について1年間延長するとともに,当該予算の使用は次年度に持ち越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成25年度および26年度に引き続いてグループ回想法による介入研究を行うこととする。対象者は首都圏のシルバー人材センターに登録する健康な高齢者とし,認知機能検査の実施を含んだ研究への参加を有償でもとめる。さらに介入研究のスタッフおよび認知機能検査のテスターに対して支払う謝礼として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)