2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730686
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
和智 妙子 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 主任研究官 (30415442)
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Keywords | 犯罪心理学 / 国民の意見 / 取調べ手法 |
Research Abstract |
本研究では,大学生と一般国民を対象に取調べ手法や刑罰に対して国民がどのような意見を持っているかを検討した.Wachi et al. (2012)で提示された取調べ手法5因子(証拠の提示,直面,関係構築,積極的傾聴,事件の話題)に関して,大学生と一般国民がどのような意見を持っているかを検討した.その結果,大学生と一般国民ともにほぼ同様の結果が得られた.適正さに関して,積極的傾聴因子が最も適正であり,直面因子が最も適正ではないという結果になった.有罪の被疑者からの自白の得やすさに関して,大学生の場合は証拠の提示因子が最も自白を得やすいとみなされたのに対し,一般国民では証拠の提示,積極的傾聴,事件の話題因子が同様に最も自白を得やすいとみなされた.無実の被疑者に関しては,大学生・一般国民ほぼ同様の結果が得られ,直面因子が最も虚偽自白を得やすいと判断された.このように,積極的傾聴因子は,最も適正とみなされ,最も虚偽自白を得にくく,有罪の被疑者からも自白を得やすいと判断されたことから,国民が最も好ましい手法と判断していることが示された. 架空の殺人事件を提示した調査では,国民は被疑者に対抗する取調べを適正ではなく,誘導的で高圧的であり,その取調べによって得られた自白が信用できず,さらには裁判でも認められないとみなしていた.被疑者の判決に関する意見においても,取調べ手法により違いが見られ,被疑者がたとえ自白したとしても,対抗的な取調べでは被疑者を無罪であるとみなす傾向がよりみられた.一方,性別以外の属性は被疑者が有罪であるか否かの判断には影響していないことが示された.これらの結果は,取調べ手法という警察がコントロールできる要因が,一般国民の取調べの適正さの判断だけでなく,裁判の判決にも影響を与えることが示されており,適正な取調べ手法を警察が利用していくことの重要性が示されたと言える.
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Research Products
(4 results)