2013 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病への集団認知行動療法の効果と認容性の総合評価:無作為化比較試験のメタ分析
Project/Area Number |
23730688
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Research Institution | Institute for Health Economics and Policy, Association for Health Economics Rsearch and Social Insurance and Welfare |
Principal Investigator |
奥村 泰之 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), その他部局等, 研究員 (50554383)
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Keywords | うつ病 / 認知行動療法 / メタアナリシス |
Research Abstract |
■背景: うつ病の治療ガイドラインでは,集団形式の認知行動療法 (集団CBT) は,介入強度が中程度の非薬物療法とされていた。集団CBTは,10名程度の患者を1度に治療できるため,費用対効果の高さが期待されている非薬物療法である。しかし,介入強度に違いがあるとされている非薬物療法の治療オプション間の位置づけの妥当性に関する科学的根拠は欠けていた。 ■研究内容: 研究グループは,うつ病に対する集団CBTの効果の位置づけを比較検討するために,集団CBTと他の非薬物療法を比較した無作為化比較試験のメタ解析を行った。比較対照は,①未治療,②読書療法などの低強度介入,③他の集団療法,④個人心理療法などの高強度介入の4つのレベルとした。1994年から2013年までの文献データベースを検索した。35試験に参加した3,356症例が解析の対象となった。比較対照の内訳は,未治療が30試験,低強度介入が2試験,他の集団療法が8試験であった。高強度介入は1試験に過ぎなかった。 評価者2名が独立にバイアスへのリスクを評価した結果,臨床試験の60%以上は,選択バイアスと報告バイアスの評価をするための情報が公開されていないことが示された。 うつ病の症状に関する効果を統合標準化平均値差 (SDM) で調べたところ,未治療と比べると,集団CBTの効果が大きいことが示された (SMD: -0.68; 95% 信頼区間 [CI]: -0.83, -0.54)。その効果の大きさは,HAM-Dスコアで,-3.41ポイントに達した。一方,低強度介入と比べると,集団CBTの有意な効果は認められなかった (SMD: -0.30; 95% CI: -0.84, 0.23)。他の集団療法と比べても,集団CBTの有意な効果は認められなかった (SMD: -0.21; 95% CI: -0.46, 0.04)。 ■展望: 今回の研究により,「うつ病への集団認知行動療法が他の非薬物療法の効果を凌駕するエビデンスは不十分であり,科学的評価に耐えうる質の高い研究が求められる」と結論づけた。
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Research Products
(6 results)