2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730694
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 史典 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (90549510)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 認知科学 / 認知心理学 / 知覚心理学 / 時間知覚 / 空間知覚 / 視覚的注意 / 潜在記憶 / 心理的時間 |
Research Abstract |
本研究課題では,人間の基本的な知覚機能である空間の知覚に焦点を当て,空間知覚に及ぼす逆行性要因の影響を心理物理学的手法と神経科学的手法を用いて調べ,そのメカニズムを解明すること目的として実験研究を行ってきた。年度の前半には,我々の空間的位置の知覚が逆行性に歪むこと,さらにその生起過程において,視覚的注意が大きく関与していることを心理実験によって明らかにした。また,年度の後半には,空間知覚と密接な関係をもつ時間知覚においても,逆行性要因によって主観的時間の長さが影響を受けることを明らかにした。これらの結果は,我々が時空間を知覚する際に,対象となるイベントの直後に生起した要因によって,直前の知覚が書き換えられることを示している。これらの研究成果をもとに,平成23年度は,海外の学術雑誌に3本の論文が採択された。学会における研究発表に関しては,国際発表を2回,国内発表を7回行った。本研究課題で取り上げる,「逆行性要因による空間知覚の歪み現象」は,非常に単純な状況下において見られることから,日常生活においても頻繁に生起していると考えられる。さらに,我々の知覚が時間を遡って歪められる現象を解明することは,人間の知覚メカニズムの時間的側面を明らかにすることができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,空間知覚に及ぼす逆行性要因の影響のメカニズムを解明することを目的としているが,平成23年度は基本となる現象の生起要因を明らかにした。研究期間全体で国際誌3本の受理を目指すことを目安としていたが,初年度で国際誌3本の掲載が決まったことから,順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は,逆行性要因によって空間知覚が歪む現象の生起要因を明らかにしたが,次年度以降ではモダリティの要因を組み込むことで多角的なアプローチを行う。具体的には,手の運動に対して,視覚的な逆行性の歪みが影響を与えるのか否か,を明らかにする。これらの研究成果は,国内外の学会で発表するとともに,認知,知覚関係の専門誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は順調に進展していることから,当初の計画通りに研究費を使用する予定である。
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