2011 Fiscal Year Research-status Report
視覚性ワーキングメモリーの神経基盤と脳領域間関係性の解明:認知神経科学的研究
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23730704
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高濱 祥子 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (30342645)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ワーキングメモリー / 長期記憶 / 脳機能イメージング |
Research Abstract |
日常生活において、物体が眼の前に存在しない時、我々は、視覚性ワーキングメモリーとして脳内に保持された物体の特徴に関する記憶表象と、眼前の物体の知覚表象を照合することにより、物体の同一性を判断する。また我々は、眼の前に存在する物体を観察しながら別の物体を連想し、長期連想記憶として脳内に保存された物体の記憶表象と、眼の前の物体の知覚表象の関係性を判断することもある。ヒトを対象とする認知神経科学的研究において、視覚性ワーキングメモリー、長期連想記憶の神経基盤に関する知見は数多く得られている一方、その相互作用にかかわる神経基盤については、まだ不明な点が多い。 そこで本申請課題では、長期連想記憶に基づく変化同定課題を用いて、長期連想記憶におけるカテゴリー間の結びつけ情報と、ワーキングメモリーにおける関係性結びつけ情報の相互作用を検討した。 事前に対連合情報と物体情報を学習した実験参加者(大学生、大学院生)を対象に、長期連想記憶に基づく変化同定課題の正答率を、視覚性ワーキングメモリーに基づく変化同定課題と比較した。見本画面とテスト画面の物体情報に基づき、変化条件は、変化なし、位置の変化、属性の変化の3つとした。その結果、長視覚性ワーキングメモリーに基づく変化同定課題と同様、長期連想記憶に基づく変化同定課題の遂行は可能であった。変化タイプごとに正答率を比較すると、位置の変化条件において、両課題とも正答率が低かった。さらに長期連想記憶に基づく変化同定課題では、想起方向が課題遂行に影響を及ぼすことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画では、本申請のための課題を考案し、行動特性を明らかにすることであった。計画通り、視覚性ワーキングメモリーと長期連想記憶の相互作用を検討するための課題を考案し、行動実験により基礎的なデータを収集したので、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に考案した課題をもとに、脳機能イメージング実験を行い、視覚性ワーキングメモリーと長期記憶の相互作用にかかわる神経基盤と脳内ネットワークを明らかにすることを目的とする。あわせて成果発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究の実験参加者に対する謝金、イメージング装置所有機関への出張旅費、成果発表や資料収集のための旅費、成果発表に向けた論文原稿の英文校正費として使用する予定である。
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