2012 Fiscal Year Research-status Report
モダリティや処理水準を越えた溯及的推測の一般原理の解明
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23730707
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
河邉 隆寛 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, その他部局等, その他 (40423511)
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Keywords | 行為主体感覚 |
Research Abstract |
自らの行為に即して外界に何らかのイベントが生じた場合、人間はその外界のイベントを操作したような感覚を得る場合がある(行為主体感覚)。先行研究では、行為とイベントとのタイミングの時間ずれや、行為結果の予測と行為結果として生じたイベントとの整合性が行為主体感覚の主要因とされてきた。本研究では、時間ずれや予測整合性とは独立に、外界イベントの量的側面が行為主体感覚を変調することを明らかにした。具体的な実験では、被験者はボタン押しを行い、画面上にドット運動を提示した。ここでは、1)ボタン押しからドット運動開始までの時間ずれ、2)運動方向予測との一致・不一致、および3)ドット運動の速度、の3点を操作し、実験参加者に行為主体感覚を評定させた。その結果、先行研究と同様に、1)の時間ずれが短い場合、および2)予測とドット運動方向が一致する場合に行為主体感覚が向上した。また、3)のドット運動速度が早くなるにつれ、行為主体感覚が向上する現象を発見した。行為の量的側面は、行為後に被験者に与えられる情報である。従って、予測との整合性、行為と外界イベントとの時間ずれと共に、行為結果の量的側面が時間的に統合されることで行為主体感覚が決定されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は知覚におけるポストディクションを解明した。2年目は、行為と知覚との統合にポストディクションが関わることを明らかにした。これらは事前に計画した内容を遂行したものである。そのため、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ポストディクションに関わる計算モデルを統計的最適統合の観点から検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験参加者の行為を撮影するハイスピードカメラを購入する。残りは、データ解析用のパソコン、および実験参加者への謝金にあてる。
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