2012 Fiscal Year Research-status Report
盲点補完における情報統合過程と脳内基盤の実験心理学的・脳生理学的研究
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23730713
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
蘭 悠久 島根大学, 法文学部, 准教授 (10437767)
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Keywords | 実験心理学 / 盲点 / 知覚的補完 / フィリングイン / 脳波 |
Research Abstract |
本研究の全体の目的は、盲点補完における盲点の片側の情報および両側の情報の統合過程と脳内基盤を検討し、それらの知見をもとに、盲点補完のメカニズムを考察することである。本年度は、(1) 昨年度までに行った実験から得られた盲点片側補完の異方性に関する実験結果をまとめ、論文として投稿した。審査により問題点が指摘されたため、再投稿のために準備中である。 (2)盲点運動線分片側補完の際の脳波測定と(3)研究者の異動に伴う新しい被験者への盲点補完実験の実験準備および訓練を行った。 (2)については、 被験者6名の盲点運動線分片側補完の際の脳波測定の結果から、盲点運動線分片側補完が生じる条件では生じない条件に比べてガンマ波が後頭葉で統計学的に有意に増加していることが示された。α波についても盲点運動線分片側補完が生じる条件と生じない条件で差がみられた。これらのデータの解釈については現在考察中であるが、盲点補完における片側補完の際の生理データおよび盲点補完における運動線分の補完の際の生理データはこれまでに示されていないので、盲点補完のメカニズムを考えるうえで興味深い知見である。この結果については2013年度に学会で発表を行なう予定である。(3)盲点補完の本実験を行うための準備として、島根大学生の新しい被験者に盲点領域の計測、眼球運動の統制および盲点周辺視野での刺激観察の訓練と本実験の練習試行を行い、被験者4名の盲点実験の準備が完了した。その他に数名が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、2011年度盲点補完の心理実験および2012年度の盲点補完の際の脳波測定の結果とも発生原因およびメカニズムが不明であるが、興味深いデータは収集できているため。次年度さらに多くの実験を行い、それぞれの結果の組み合わせから、可能性の高い発生原因およびメカニズムをしぼる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は研究者および共同研究者の所属機関の異動もなく、研究環境および被験者の実験準備は着々と進んでいるため、残りの研究を意欲的に進める。現在、発生原因およびメカニズムの不明な2011年度に明らかにした視覚(心理)現象と2012年度に出た盲点補完の際の脳波の結果と盲点補完のメカニズムについて考察を行い、共同研究者と議論しながら、これらの現象の原因・メカニズムを検討する。並行して、残りの盲点補完の心理実験および盲点補完の際の脳波測定を意欲的に行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度(25年度)使用額」が生じた理由は研究者の所属機関から学内研究費を得たため、その使用を優先し、次年度に繰越できる本科研費を次年度の研究のために温存したからである。最終年度である次年度はそれらの研究費を用いて意欲的に研究を進める。
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Research Products
(5 results)