2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730719
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
橋本 照男 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (40553756)
|
Keywords | 記憶 / 再認 / 新奇性 / 確信度 |
Research Abstract |
初めて見るものが初めてだと分かるのは、新奇性を検出できているからなのか、それとも親近性が極めて弱いことからくるのかを、その確信度判断と脳活動の相関を検討することで明らかにする研究を行った。新奇性処理が親近性処理と分離できるかを機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて明らかにすることが研究の目的であった。 高い確信度の新奇性判断は低い確信度の新奇性・再認判断よりも反応時間が早く、高い確信度の再認判断と同様の反応時間であった。新奇性判断が記憶と独立した神経基盤を持つということは、未知の対象を検知し迅速な対応をするために生来備わっているシステムがあることを推察させた。それらに対応する脳内処理は乖離しており、新奇性判断に関する神経基盤を明らかにする結果を得られた。しかし、その成果を発表するには至っていなかった。 当該年度は当初の研究計画からの1年間の延長であり、当初からの研究実施計画の最終目的であった成果発表を目的とした。前年度に作成した論文を大幅に改訂し、海外の専門誌に2度の投稿を行ったが、特に統計学的な問題のため、いずれも掲載には至らなかった。また、同研究内容を学会発表した。それらの中で得られた批評、意見に基づき論文を再改訂中であり、今後専門誌において発表することを目指す。 本研究において新奇性判断の神経基盤が明らかになったことは、記憶判断以外の処理が再認課題において働いていることを示しており、記憶研究に新たな視点をもたらすことができると考えられる。
|