2012 Fiscal Year Research-status Report
時間的同期に基づいた異種感覚モダリティ間・属性間の情報統合メカニズムの解明
Project/Area Number |
23730720
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤崎 和香 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (20509509)
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Keywords | 同時性知覚 / バインディング / 異種感覚モダリティ / 時間-特徴統合 / 視聴触覚 |
Research Abstract |
本研究の目的は異種感覚モダリティ間・属性間の情報を統合して一体感のある知覚世界を作り上げている人間の脳の論理を、心理物理学的実験手法を用いて解明することである。我々は近年、感覚モダリティ間・属性間のバインディング課題の時間周波数限界が、感覚モダリティや属性の組み合わせに寄らず、約2.5Hzと共通になることを発見した。平成24年度は、昨年度に引き続き、この約2.5Hzという感覚モダリティや属性に共通の時間限界が、「時間」と「内容」の情報を並列処理したのちに統合するという脳の戦略を反映したものではないかという仮説を検証するため、ひきつづき交替刺激とステップ刺激を用いて臨界クラウディング周波数(CCF)の検討を行うとともに、視覚内だけでなく聴覚内の異なる属性間のバインディング課題の時間限界の検討を行った。さらに、感覚間だけでなく感覚運動間の時間的な対応付けのメカニズムを探るため、自己の行為とその感覚フィードバックとの時間遅れの問題についてひきつづき検討を行った。これらの研究は、感性学研究会(九州大学)で招待講演を行ったほか、Vision Science Societyや日本音響学会、多感覚研究会で発表した。また、MIT Pressから出版された多感覚情報処理のハンドブック(The New Handbook of Multisensory Processing)において、Multisensory Timingの章を共著で執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室の騒音問題のため別の実験室への引越しを行う必要が生じ、引っ越し先の実験室のセットアップ(個別空調設置工事、電気配線工事、簡易暗室設置工事、火災報知器設置工事など)に時間がかかり、24年度中に予定していた実験の全てを修了することができなかった。このため、補助事業期間延長申請を行い、被験者実験及び論文発表を次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室の騒音問題のため別の実験室への引越しを行う必要が生じ、引っ越し先の実験室のセットアップ(個別空調設置工事、電気配線工事、簡易暗室設置工事、火災報知器設置工事など)に時間がかかり、24年度中に予定していた実験の全てを修了することができず、補助事業期間延長申請を行った。上記の工事は既に終了しており、次年度は順調に研究推進できる見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
被験者実験及び論文発表を次年度に行うこととし、未使用額は、被験者謝金やその他実験データ集録に必要な経費、および英文校閲、投稿料など論文発表の経費に充てることにしたい。
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