2011 Fiscal Year Research-status Report
戦後青少年教育の研究―戦前との連続性および「官製」的運動の展開に着目して―
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23730722
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安藤 耕己 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (30375448)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 戦後青少年団体 / IFEL / 青年団 / 中央青少年団体連絡協議会 / 青少年育成国民会議 |
Research Abstract |
本年度はまず解散した青少年育成国民会議、活動が休止状態である中央青少年団体連絡協議会に関わる所蔵資料を財団法人日本青年館資料室にて所在を確認。以後、複数回にわたって両団体に関わる雑誌『青少年』『中青協ニュース』等の雑誌記事を閲覧・複写した。次に、日本青年団協議会の1960年代以降における末次一郎らの介入について、当時の日本青年団協議会関係者関係者にインタビューを実施し、内容を音声データにて記録した。その後、筑波大学附属図書館等にて雑誌『月刊社会教育』『社会教育』『青少年問題』の1950年代から1960年代の青少年施策をめぐる記事を閲覧・複写し、その内容を検討した。これらをふまえ、本年度の研究成果は、2012年3月10日に開催された第10回筑波大学教育学会での自由研究発表として「戦後における青(少)年団体の展開に関する一考察 ―主に1960年代までの「官製」的組織・運動に着目して―」と題して発表した。 本年度の研究により、1951年に占領下公認の下に組織された中央青少年団体連絡協議会から1967年に結成される青少年育成国民会議へと継承されていく、青少年健全育成事業の展開とそこに関わる青(少)年団体及び人脈について、主にキーパンソンとなる末次一郎に焦点づけながら明らかにすることができた。具体的には、(1)末次がどのようにして青少年行政に深く介入していったのか、その過程、(2)末次の人脈と主に戦前期からの日本青年館・大日本連合青年団関係者との結びつきについて、(3)末次が関わった戦後青(少)年施策、特に青少年団体に関わるものについて整理できた。これらは従前、社会教育(史)研究からは等閑視されてきた内容であり、特に戦前期からの日本青年館関係者やその流れを汲む文部官僚らとのつながりについての着目は、本年度研究において特筆すべき部分である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響により日本青年奉仕協会関係者、旧文部省関係者等へのアポイントが取りづらく、インタビューが必ずしも計画通りに実施することができなかったものの、本年度は主に公立図書館に所蔵されていない資料の閲覧・複写、収集を重点的に実施し、その面で多大な成果をあげた。これにより関係者にインタビューを実施するに当たっての準備がより精緻化されたと評価できる。なお、3月に発表した学会発表の内容は、ノートとして次年度学内紀要等に発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果をふまえ、末次一郎関係者へのインタビュー、また昨年度実施できなかった旧文部省関係者、日本青年奉仕協会関係者等へのインタビューを積極的に行う。 研究成果を日本社会教育学会、筑波大学教育学会等において発表をし、『日本社会教育学会紀要』等の学会誌に投稿する。 昨年度末に筑波大学教育学会において発表した内容をノート化して学内紀要等に掲載させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関係者へのインタビュー、資料の閲覧・複写、学会発表に際して必要となる旅費・宿泊費、資料整理に関わる研究協力者謝金、音声データ・画像データ保存用のメモリ、外付けハードディスク等の機器、関わる資料の購入費、資料の複写費等を要する。
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Research Products
(2 results)