2012 Fiscal Year Research-status Report
戦後青少年教育の研究―戦前との連続性および「官製」的運動の展開に着目して―
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23730722
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安藤 耕己 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (30375448)
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Keywords | 戦後青少年団体 / 青少年育成国民会議 / 戦後青少年育成策 / 日本健青会 |
Research Abstract |
本年度は主に3つの研究活動を実施した。①青少年育成国民会議および中央青少年団体連絡協議会、日本青年奉仕協会の機関誌等の閲覧および複写等による資料・情報収集。②①をふまえつつ、それら団体関係者を中心に末次一郎および寒河江善秋らとの関係についてのインタビューおよび資料収集。③研究方法論であるライフストーリー(オーラルヒストリー)についての理論的検討。 これら①~③の成果は、日本社会教育学会第59回研究集会自由研究発表において、「戦後青少年(教育)施策の展開に関する一考察 ―主に1970年代までの青少年団体施策決定の過程に着目して―」と題して報告した。ここでは昨年3月に第10回筑波大学教育学会にて行った発表を深化させ、特に末次一郎が深く関わったことが推測される、1970年代までの青少年団体施策決定の過程に関して、関係雑誌等のテキスト、さらには関係者からのインタビューを活用し、その詳細を明らかにすることを試みた。結果、末次がどのようにして青少年行政に深く介入していったのか、その人脈およびその形成過程、末次が関わった戦後青(少)年施策、特に青少年団体施策決定についての概要を明らかにした。また、方法論として、施策決定過程の理解においては、文献に依拠するのみならず、政治史研究にならったオーラルヒストリーアプローチの可能性を本発表を通して示すものとなった。 従前の社会教育史研究において等閑視されてきた、戦後における青少年(教育)施策決定に際しての右派人脈および戦前以来の内務・文部官僚出身者らとの密接な関係を明らかにしたものであり、かつ方法論としてのオーラルヒストリーアプローチの可能性を示したことが本年度の研究において、特筆すべき部分である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度、震災の影響で滞った、日本青年館関係者、青少年育成国民会議関係者、日本青年奉仕協会関係者へのインタビューを複数回実施し、それら団体と末次一郎および寒河江善秋らとの関わりを確認することができた。 また、上掲団体に関わる機関誌等の閲覧・複写、資料収集も順調に進んでいる。 研究成果の発表については日本社会教育学会第59回研究集会自由研究発表で行い、十分な反応を得た。 平成25年度に学会誌等への投稿を準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をふまえ、さらにインタビューデータを蓄積する。本年度は特に青少年育成国民会議関係者および1970年代に青少年教育担当であった元文部省職員らにインタビューを実施する。 研究成果は日本社会教育学会および筑波大学教育学会において発表をし、学会誌等へ投稿する。また、インタビューデータは報告集として発刊する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関係者へのインタビュー、資料の閲覧・複写、学会発表等に際して必要となる旅費・宿泊費、資料整理に関わる研究協力者謝金、音声データ・画像データ保存用のメモリ、外付けハードディスク等のデータ保存機器、関わる資料の購入費、資料の複写費等に加え、報告書の印刷代を要する。
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Research Products
(2 results)