2011 Fiscal Year Research-status Report
算数授業のデザインプロセスと実践化の検討:アクションリサーチからのアプローチ
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23730729
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 麻沙美 東京大学, 大気海洋研究所, 特任講師 (00539520)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アクションリサーチ / 授業研究 / 授業デザイン |
Research Abstract |
本研究では、教師が日常的に遂行する教材開発と授業実践、及び授業改善の省察から、授業デザインのプロセスと実践化を記述することを目的としている。特に算数科に焦点をあて、教材準備を含めた授業前のデザイン、授業実践・意思決定、及び授業後の振り返り、及び同僚との事後検討会での談話から、教師の実践を通した学習と省察の様相を、事例研究を通して描き出そうとするものである。本年度は、申請段階から依頼していた研究協力者の定期的な授業観察と授業後のインタビュー、使用された教材分析を行うとともに、児童の記述内容と教室談話から教授学習過程の検討を行った。研究協力者は、地域の算数教育を代表する優秀な実践者である。研究発表会で授業を公開したり、実践報告をすることには慣れているが、一方で授業デザインのプロセスや自身の授業中の思考や実践を省察し、それを他者に語ったり、説明するような機会はあまりなく、当初予想していたよりも、インタビューによる授業デザイン過程の分析が困難であることが分かった。そこでインフォーマルなインタビューを強化し、また、学校全体で行う校内研修の場に参加し、研究協力者の背景を理解することに本年度は焦点を当てた。また、教材分析に関しては、過去に使用したワークシートからの改訂部分を説明してもらうことで教師の志向性を検討するアプローチを加えた。教師の授業デザインの検討にあたって、授業前にインタビューは教師の混乱や困惑を招くことが明らかになったため、計画を変更し授業後に簡単な意見交換と授業後、一定時間をおいて振り返る方法へと切り替えるアプローチの有効性を見出した。また、アクションリサーチとして、授業で起きていた事柄を教師や児童の目線ではない観点から語ることで、教師が今まで意識していなかった自身の行為に省察が起き、それが次の授業改善に生かされたことが授業者より伝えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者との共同に関しては、3者の性質に合わせて進行状態は異なっている。ある教師は、「日常の授業」に対する抵抗が強く模範的な授業を構成する傾向がある。また、ある教師は、第3者(観察者)が入ることを、授業研究の機会と捉え、より自分らしさを追求する授業を展開した。そうした背景を基に、各教師の授業デザインを検討することや寄与することは、アクションリサーチを行う研究者に省察を与える。本年度、全教員を対象とした協同的な教材開発は行えなかったが、次年度に向けて相互理解と役割の認識を共有できたことは本年度の研究計画に即して言えば、概ね十分に研究が遂行できているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、熟達した特定地域の算数科を専門とする教員を対象にして検討を行った。授業の見せ方に個性はあるものの、地域特性が大きく影響を与えていると考えられるため、暗黙的前提を持っていると思われる側面が多い。そこで、研究協力者として、他地域や異なる文化の教師、及び、その他の教科との比較も視野に入れて、算数科授業のデザインプロセスの明確化を実施する。また、日本では、授業研究が伝統的に行われているため、そのプロセスへの自覚が弱いことが指摘できる。そこで、現在、授業研究は世界的な動向を見せていることを鑑み、授業研究、授業改善を試み始めて歴史の浅い国の授業研究や教師の授業デザインに関与することで、本研究の課題にアプローチしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、1地域だけでなく、他地域にも範囲を広げ、授業観察と授業デザインに関するインタビュー調査、アクションリサーチを実施する。授業研究に関して、海外(インドネシア)にも協力者を得ることができたため、申請者が過去に行ったシンガポールの授業分析や研究を基盤にしながら、インドネシアでも授業へのアクションリサーチを行う、教師の授業デザインのプロセスの、特に原初的な課題に焦点をあてることで、授業デザインプロセスと実践化のプロセスモデルの構築を試みる。
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Research Products
(1 results)