2011 Fiscal Year Research-status Report
DeSeCo以後の能力と評価の理論を踏まえた教育実践研究と教員養成の方法
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23730738
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
遠藤 貴広 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (70511541)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 真正の評価 / アカウンタビリティ / 改革の持続可能性 / 教員養成スタンダード / 教職実践演習 / 省察的実践 / 協働探究 / コンピテンス |
Research Abstract |
米国において州のテスト政策に対抗しながらも「真正の評価(authentic assessment)」を組み込んだアカウンタビリティ・システムを展開し続けているNew York Performance Standards Consortium(以下,NYPSCと略記)の取り組みに注目し,2011年6月に事務局のあるUrban Academy Laboratory High School(ニューヨーク市)を訪問し,共同理事長のAnn Cook氏,研究部長のMartha Foote氏,教職研修センター長のPhyllis Tashlik氏,コーディネーターのDonald Freeman氏らの協力を得ながら,新しい能力の形成とその評価に向けて現在どのような実践的取り組みがなされているか,現地調査を行った。 教員養成をめぐっては,所属機関の教員養成スタンダードがDeSeCo以後の能力と評価の理論を踏まえた枠組みで策定され,このスタンダードに基づいて新設科目「教職実践演習」の実践が2011年度から始まっている。これに合わせて,他の教職科目の実施方法についても調整が図られ,通年で全コース全学年が集まる授業の中で,4年間にわたる教職課程で実践し学んできたことの意味を,学年とコース(専門教科)の異なる多様なチームで幾度も問い直すサイクルが確立している。この点については,福井県教育委員会と教員養成スタンダードに関して合同協議を行う中で,行政による研修とも方向性が共有され,教員の養成と研修のさらなる連携が進められている。この取り組みの詳細な事例研究に向けて,2011年度は,評価資料として4年生が提出した最終報告書(教職学習個人誌)を公刊しておくなど,学生の学習成果物を誰もが検討できる体制を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国外の実践については,米国で興味深い事例が得られ,その事例研究の中で見出された教育評価改革の持続可能性をめぐる実践上の論点は,これから日本国内の実践事例を検討する上でも重要な視点となる。 教員養成をめぐっては,DeSeCoのコンピテンス概念にも適う枠組みでスタンダードの策定と評価の構想が行われ,教員養成カリキュラムはキー・コンピテンシーの形成にも資するものとなりつつある。この取り組みについては,学内外の協力も得られつつあり,さらなる実践の進展が望める。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では,DeSeCo以後の能力と評価の理論を踏まえた枠組みでの教育実践研究の方法を探った上で,それを担える実践者を育む教員養成の方法を模索するという方向が強かった。しかし,実際に本研究を進める中で,先に新たな教員養成の実践事例を示し,それと連動する教員研修の在り方を模索する中で,学校での教育実践研究の方法論を問うという方向での研究の必要性も出てきた。「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策」をめぐる中央教育審議会教員の資質能力向上特別部会からの提起も,これに拍車をかけるものである。そこで2012年度は,教員養成の実践研究に重点を置いた研究を先に進めることにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね当初の計画通りだが,教員養成の実践研究とその成果発表に当初の計画より多くの予算を充てたい。
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