2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730743
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
臼井 智美 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30389811)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 外国人児童生徒教育 / 教員研修 / 校内研修 / 教員の力量形成 / 教材開発 / 協働文化 / 授業づくり |
Research Abstract |
本研究の目的は、外国人児童生徒教育において、教員の指導力向上を支援するための研修教材の開発を行うことである。 研究代表者は、「外国人児童生徒の指導に必要な力の形成過程モデル」を明らかにし、教員の指導力形成過程には3つの類型があることを示してきた。本研究では、これら3つの類型を踏まえ、いずれの類型に該当するのかによって、個々の教員にとって効果的な研修方法や内容が異なるのではないかとの仮説を立てている。本年度は、その検証を2つの方法によって試みた。 1.小学校2校において、外国人児童生徒教育に関する校内研修を行い、研修後に、全教員に対して外国人児童への指導方法や指導観の変化に関する聞き取り調査を行った。その結果、同じ研修を受けてもそこから学びとる内容には差があることが明らかになった。現在、この差を生んだ要因の分析を行っているが、すでに研究代表者が先行研究の中で仮説的に指摘してきた「学級担任経験」や「校務分掌経験」という要因のほかに、教員間の「協働文化」という要因が相当に大きな影響を与えていることがうかがえる結果となった。ここから、研修の成果を上げる方法を考えるためには、研修内容の工夫や教員個人の属性だけでなく、どのような組織で働いているのかという学校組織要因を考慮する必要があることがわかった。 2.小学校2校と中学校1校において、外国人児童生徒教育に関する同一内容の研修を各校で計3回行い、小学校と中学校の教員の間で研修から学びとる内容に差が生じるかどうかの検証を行った。その結果、「授業づくり」を研修の中心的なテーマに据えた場合、小学校と中学校の教員の間では、研修成果に大きな差が見られないことがわかった。研修内容の組み立ての工夫と研修成果の向上を図っていく上で、校種の違いがどの程度の影響力を持つのかについては、今後、条件を変えて検証していく必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画として予定していた教員への聞き取り調査については、小学校教員計32名に対して実施した。聞き取り調査で得られた音声データはすべて、文章として文字化した。また、そのデータを用いて、被調査者が、「外国人児童生徒の指導に必要な力の形成過程モデル」のどの類型・どの段階にあるのかを判定する作業も、予定通りに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
教員の「外国人児童生徒の指導に必要な力の形成過程モデル」での類型や段階の差を生じさせる要因が何かを、学級担任経験や校務分掌経験の観点から検討する。学級担任経験や校務分掌経験によって獲得される指導力が、これらの経験を経なくても代替手段によって獲得が可能か否かの検討を行う。そして、獲得が可能な場合、その指導力の向上に効果的な研修の内容と方法について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度内に購入予定であった研究図書の増補改訂版が年度末に刊行予定となったため、当該図書購入のために確保していた2,529円が執行残となった。当該図書(増補改訂版)については、平成24年度に購入し研究資料として活用する予定である。
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