2012 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ合衆国における学生経済支援制度と低所得学生の大学進学・修学保障
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23730748
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 香奈 広島大学, 教養教育本部, 准教授 (30325203)
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Keywords | 奨学金 / 高等教育 / アメリカ / 学生支援 / 学生経済支援 / 授業料 / 大学 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ合衆国の高等教育における学生経済支援に注目し、高等教育の機会均等を保障する経済支援制度の特質について考察することを目的としている。学生経済支援とは、給付・貸与奨学金の他、ワークスタディ、教育減税といった支援を広く含む概念であり、その制度は非常に多様で変化が大きい。そこで、本研究では連邦政府・州政府・大学による経済支援制度の成立・展開とその特質・課題を考察し、特に低所得学生の大学進学・修学にもたらす効果について検証することを目的としている。 平成24年度は(1)州レベルの学生経済支援のケーススタディ、(2)連邦レベルの学生ローンの返還方法の特質と課題、の検討を主に行った。 1点目の州レベルの学生経済支援についてはペンシルバニア州に注目し、州学生経済支援政策を検証することとした。なぜ、授業料が他州と比較して高額なのか、州政府はいかなる経済支援を通じて高等教育の機会均等を保障しようとしているのかを検証するため、ペンシルバニア州教育局、ペンシルバニア州高等教育支援機構、ペンシルバニア州立大学、ペンシルバニア州高等教育システム、ハリスバーグコミュニティカレッジなどの訪問調査を行った。また、もう一つの州レベルのケーススタディの対象としてテネシー州を取り上げ、公立大学交付金改革の中で行われた高等教育の機会均等化政策についても資料の収集・分析を行い、報告書にまとめた。 2点目の連邦学生ローンの返還方法の特質と課題については、1)所得連動返還型ローンの特質と課題、2)連邦学生ローンの延滞・債務不履行問題、の2点について検討した。アメリカ連邦教育省への訪問調査を行い、日本教育行政学会第47回大会で発表を行うとともに、その成果を論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、連邦政府・州政府・大学による経済支援制度の成立・展開とその特質・課題を考察し、特に低所得学生の大学進学・修学にもたらす効果を検証することを目的としている。 平成24年度は(1)州レベルの学生経済支援のケーススタディ、(2)連邦レベルの学生ローンの返還方法の特質と課題、の検討を主に行い、それぞれ成果を学会発表するとともに論文としてまとめた。当初の計画どおり研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、1) 連邦政府による給付奨学金制度、2)連邦政府によるワークスタディ制度、3)連邦政府による奨学金以外の機会均等化策、4)州奨学金制度のケーススタディ(ペンシルバニア州、ジョージア州)を行う。 1)については、ペル給付奨学金制度の成立・展開、現状、効果と課題を検証する。 2)については、ワークスタディ制度の成立・展開、現状、効果と課題を検証する。 3)については、特にTRIOやGEAR UPといった高校生・大学生向けの進学・修学支援制度の成立・展開・現状・課題を検討する。 4)については、平成24年度に引き続きペンシルバニア州のケーススタディを進めるとともに、ジョージア州についても先行研究のレビュー・資料収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ペンシルバニア州およびジョージア州への訪問調査のため、渡航旅費その他約65万円を予定している。また、その他謝金・消耗品費を予定している。
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