2011 Fiscal Year Research-status Report
日豪比較を通した開発教育における教育評価の方法論の構築と教育評価実践の探究
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23730755
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
木村 裕 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (90551375)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 開発教育 / グローバル教育 / 教育評価 / 授業研究 / 教育方法学 / オーストラリア / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、オーストラリアにおける開発教育の研究蓄積を批判的に検討することによって、開発教育における教育評価の方法論を構築するとともに、日豪での授業研究を通して教育評価実践のあり方を探究することを目的としている。平成23年度の研究成果は、主に以下の3つにまとめられる。1つ目は、教育評価に関する基礎資料の収集とその検討である。具体的には、現地調査を通してナショナル・テストならびに南オーストラリア州の後期中等教育修了資格試験(SACE)に関する資料を収集し、それぞれの制度の全体像とその特徴を検討した。また、研究協力者の1人であるセキュロ(Securo, L.)氏が勤務するArdrossan Area Schoolにおいて授業観察とインタビュー調査を行った。2つ目は、教育目標設定の論理と教育評価を実施する際の要点の検討である。具体的には、「自己認識の深化」「社会認識の深化」「行動への参加」という3つの視点をふまえた教育目標を設定することの必要性を明らかにするとともに、これらの視点に対応した評価指標のあり方を検討した。さらに、これらの視点をふまえた実践の分析枠組みを精緻化した。3つ目は、授業研究を行うための準備の進展である。日本での授業研究を進めるための準備として、中学校の教師とともに、これまでの研究成果の共有化を図ってきた。さらに、評価課題と評価方法のあり方を探るという視点を持ちながら、単元開発・授業づくり、授業の実施、授業検討、単元案・授業案の改善、という流れで共同研究を行うことをめざし、小・中学校の教師たちと研究会を設立した。次年度は、これらの成果に基づいて授業研究に取り組んでいく。これにより、これまでの理論面での研究成果をふまえた実践のあり方の探究と、実践をふまえた理論の再検討・再構築をめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究実施計画」に沿って、「オーストラリアでの文献収集・インタビュー調査」ならびに「申請者独自の教育評価の方法論の構築と実践の分析枠組みの精緻化」に関して、おおむね計画通りに研究を進めることができている。また、理論面での研究成果の整理や研究会の設立、オーストラリアのセキュロ氏とのやりとりなどを通して、次年度に予定している授業研究を進めるために必要な準備を整えることができた。ただし、シドニー大学のブリス(Bliss, S.)氏が退職に伴って研究から離れたこと、また、タスマニア大学のブロウェット(Browett, J.)氏がポルトガルの学校に転勤したことにより、予定していた両者へのインタビュー調査を行うことができなかった。今後、電子メールなどを活用して、やりとりを継続していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、主として実践研究を行う。具体的には、「日本での実践事例の調査」と「日豪における授業研究を通した理論の実践化と有効性の検証」を行う。日本において開発教育における教育評価の方法論を分析的にまとめた先行研究は管見の限り見られないが、実践事例には一定の蓄積がある。そこで、日本の学校現場における実践の可能性と乗り越えるべき課題を明らかにするために、資料収集および授業観察による事例調査を行う。さらに、平成23年度に実施した理論研究の成果をふまえ、日豪の学校での授業研究を行う。具体的には、日豪の教師とともに、理論に基づく単元および評価課題と評価方法の開発を行い、実践していただく。そしてその実践をもとにして、評価課題と評価方法の有効性および実践上の課題を明らかにする。平成25年度以降もこの授業研究を継続するとともに、その成果をふまえて理論の再構築をめざす。また、まとめた成果を学会発表や研究会などを通じて発信していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「今後の研究の推進方策」に示した通り、平成24年度は日豪での授業研究が主となる。そのため、デジタルビデオカメラやICレコーダーなどの機器の購入と国内旅費・外国旅費に、研究費の大半を充てる予定である。
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Research Products
(3 results)