2013 Fiscal Year Research-status Report
日豪比較を通した開発教育における教育評価の方法論の構築と教育評価実践の探究
Project/Area Number |
23730755
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
木村 裕 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (90551375)
|
Keywords | 開発教育 / グローバル教育 / 教育評価 / 授業研究 / 教育方法学 / オーストラリア / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、オーストラリアにおける開発教育の研究蓄積を批判的に検討することによって、開発教育における教育評価の方法論を構築するとともに、日豪での授業研究を通して教育評価実践のあり方を探究することを目的としている。平成25年度の主な研究成果は、以下の3つにまとめられる。 1つ目は、これまでに行ってきた理論研究ならびに実践研究を通して得られた成果を整理し直し、教育目標の設定や単元設計、教育評価の方法論に関する到達点と課題を明らかにするとともに、課題を乗り越えるための方途を示したことである。その成果は、科学研究費補助金「研究成果公開促進費(学術図書)」の助成を受けて出版した。 2つ目は、オーストラリアでのインタビュー調査と関連資料の収集である。具体的には、西オーストラリア州のワン・ワールド・センターや西オーストラリア大学、タスマニア州のグローバル学習センター、南オーストラリア州のアデレード大学等を訪問し、教育評価を含む実践づくりや教師教育に関する取り組みの実態の調査や教材開発のための資料収集を行うとともに、州レベルでの教育評価に関する制度上の枠組みやオーストラリアにおける教育評価に関する議論等についての資料収集を行った。 3つ目は、国内での授業研究の進展である。2年前に設立した研究会をおよそ毎月1回のペースで開催し、上述したこれまでの研究成果をふまえながら、小中学校の教員や他の研究者とともに、授業づくりや教材開発、授業研究に取り組んできた。この取り組みを通して、評価課題と評価方法を具体的な実践に効果的に位置づけるための方途を探るとともに、理論の精緻化を図ってきた。 次年度は、これらの成果に基づいて授業研究を継続し、教育評価実践のあり方の探究と、実践をふまえた理論の再構築を進めるとともに、その成果を整理し、発信していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、研究の目的を達成するために、①オーストラリアの研究蓄積の批判的検討を通して、学習者の学習の成果と課題を把握するための評価課題と評価方法の設定の論理を明らかにし、②理論に基づく評価課題と評価方法を日豪それぞれの現場の教師とともに開発し、実践を通して改善することによって、③教育評価実践のあり方を探究するとともに、方法論の精緻化を図ることをめざしている。 今年度は、昨年度までの研究成果をふまえて、交付申請書に記載した「研究実施計画」に沿った実践研究を進めてきた。具体的には、これまでに明らかにしてきた教育目標の設定や単元設計、教育評価の方法論に関する到達点と課題を明らかにするとともに、課題を乗り越えるための方途を示すことによって、教育評価の方法論の再構築をめざした。また、オーストラリアでの調査や、日本の小中学校の教員や他の研究者との共同授業研究を進めることで、評価課題と評価方法を具体的な実践に効果的に位置づけるための方途を探るとともに、理論の精緻化を図ってきた。 ただし、今年度は、大会日程の例年からの大幅な変更により、予定していた全豪社会科教育学会(SEAA)での発表を行うことができなかった。次年度は国内の学会も含めて、研究成果の発信にも力を入れていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成26年度は、これまでに行ってきた研究の成果をもとに、開発教育における教育評価の方法論を精緻化するとともに、評価課題と評価方法の具体的な提案を軸とした教育評価実践のあり方をまとめる。 具体的には、まず、これまでの研究成果をふまえて、教育評価実践を重視した単元開発や授業づくりを含む授業研究を進める。その際、オーストラリアで共同授業研究を行う予定としていた実践者の所属変更により現場での実践研究が難しくなったことと、一方で、自身の主催する研究会の会員との共同授業研究の体制が充実してきたことをふまえて、日本国内での授業研究を重点的に行う。そしてその成果をまとめ、学会や研究会での発表などを通じて発信していく。 さらに、これまでにも実施してきた日本での実践事例の検討を継続することで、日本の学校現場で効果的かつ豊かな実践を行うための可能性と課題に関する知見を蓄積していく。また、今年度の調査を通して研究体制を強化したオーストラリアのワン・ワールド・センターやグローバル学習センターとの研究ネットワークを生かし、オーストラリアにおける研究蓄積の批判的な検討も進める。これらの作業を通して、「日本の学校教育の場で真に生かすことのできるカリキュラムや教材、単元設計、評価計画を現場の教師とともに開発する」という、本研究の将来的な研究目的へとつなげていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究はほぼ計画通りに進んだが、昨年度から繰り越した分の研究費相当額が次年度使用額として残った。 次年度は、当初の研究実施計画内容の遂行に加えて、本年度からの繰り越し額を利用して、特にオーストラリアでの調査を充実させる予定である。
|
Research Products
(2 results)