2012 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本の教員養成における一般教養の位置づけに関する歴史的研究
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23730764
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| Research Institution | Tokai University |
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Principal Investigator |
山崎 奈々絵 東海大学, 課程資格教育センター, 助教 (90598103)
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| Keywords | 教員養成 / 教師教育 / 戦後日本教育史 / 一般教養 / 教養教育 / 教科専門教育 |
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| Research Abstract |
本研究は、第二次世界大戦後初期の日本の教員養成における「一般教養」に注目することを通じて、日本の教員養成が現在直面している「実践的指導力」の育成や「高度化」などの課題を相対化すると同時に、「大学における教員養成」及び「開放制」という戦後の二大原則の再評価を試みようとするものである。視野が狭い、社会性に欠ける、国家権力に統制されやすいといった戦前師範教育が生み出してきた「師範タイプ」と呼ばれる教員タイプを克服するために重視されるべきとされたはずの「一般教養」が、戦後教員養成でなぜ軽視され続けたのか、それにより、現在なお解決されない教員養成をめぐる課題とは何か、養成段階で身につけるべき教員の資質とは何か、逆に養成段階ではなく研修段階等で身につけるべき資質とは何か、大学が教員養成に果たすべき固有の役割とは何か、といった現代的な課題を解決する一つの視点を、戦後初期の各大学におけるカリキュラムや運営組織の歴史から提供することを本研究は課題としている。
こうした課題意識の下、平成24年度は、主として長野大学、岡山大学、金沢大学、富山大学の4校を対象に、大学・県立図書館・文書館等が所蔵する史資料を収集・分析した。並行して国立公文書館・国立国会図書館等が所蔵する文部省関係資料や占領軍関係資料等の収集・分析も進めた。
成果の一部は、2012年5月26日日本教育史学会例会にて口頭発表「戦後教員養成改革における一般教養の位置づけ」として公表した。また、学会誌に1本論文を投稿し、現在審査中である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究申請当初の計画では、平成24年度は、（1）各大学の教員養成カリキュラム及び教官組織に関する史資料調査、（2）占領軍関係資料調査を進め、教員養成における一般教養の意義や位置づけ、及び一般教養と教科専門教育・教職専門教育の3層構造について検証し、その成果を学会での口頭発表1件、及び投稿論文1本として公表する予定であった。
これに対し、調査はとくに（1）について、調査対象の都合により、計画以上に進めることが可能となり、結果、研究費を前倒し支払請求することにもなった。また、成果発表もおおむね予定通り実施した（ただし、論文は現在審査中）。
なお、成果発表については次のように行った。まず、口頭発表では、第二次世界大戦後から、大学における教員養成カリキュラムが一応完成したといわれている1952年度頃を中心とした全国的動向について扱った。次に、平成25年4月現在審査中の論文では、個別具体的な大学を対象とし、一般教養と教科専門教育・教職専門教育の関係性、教員養成系学部と一般学部の関係性、及び、小学校教員養成・中学校教員養成・高校教員養成の関係性について扱い、教員養成をめぐる従来の研究及び（政策）論争の枠組みの打開を図った。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度までに得られた成果、及び本研究以前から進めてきた筆者の研究を総括して学位論文をまとめられるよう、準備を進める。並行して、各大学発足当初の教員養成の実態―カリキュラム及び運営組織―がうかがえる史資料―設置認可申請書、学生便覧、授業要覧、学籍簿、各種会議記録等―の調査を進める。必要に応じて、文部省及び占領軍関係資料の調査も進める。
成果は平成25年度に学術集会での口頭発表1件のほか、平成26年度にかけて論文・研究ノート・調査報告書等の形で公表する。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費800,000円を、消耗品費350,000円（書籍・史資料の収集）、国内旅費250,000円（調査・史資料収集200,000円、成果発表50,000円）、成果報告のための印刷費200,000円に使用する計画である。
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