2011 Fiscal Year Research-status Report
学校内受験準備教育機関としての旧制中学校の補習科の歴史的研究
Project/Area Number |
23730765
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
吉野 剛弘 東京電機大学, 情報環境学部, 講師 (90369893)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 教育学 / 補習科 / 受験準備教育 / 旧制中学校 |
Research Abstract |
当初の研究計画に基づき、以下の作業を実施した。(1)補習科を設置していた中学校(現在は高等学校)における学校文書の調査・収集(広島県立福山誠之館高等学校・熊本県立熊本高等学校)。(2)県立図書館・県文書館における一次史料および関連史料の調査・収集(宮城県・奈良県・広島県・熊本県)。(3)研究対象についての基礎資料(県議会史・学校沿革史)の収集。(4)『全国中学校ニ関スル諸調査』および道府県統計書の収集とExcelによるデータベース化。 (1)については、広島県立福山誠之館高等学校所蔵史料の調査・収集は一部残っているが、熊本県立熊本高等学校に関しては完了した。(2)および(3)については、現段階で所蔵なり存在が判明しているものについてはすべて完了したが、今後の研究の進展によってはさらなる調査が必要であろう。(4)は『全国中学校ニ関スル諸調査』に関してはすべてが完了しているが、道府県統計書は完了には至っていない。 上記の調査の結果、広島県と熊本県については、補習科の設置および改廃の状況、補習科の実態についての輪郭が明らかとなった。この結果をもってすぐに研究成果報告という段階には至っていないが、今後の調査および成果報告の基盤は形成できたものと考えている。 研究成果報告については、上記(4)の成果を中心に、かつ上記(1)で収集した史料の一部を活用した論文を執筆した。そこでは、全国の各道府県における補習科の設置動向を明らかにし、大正後期における補習科の設置道府県数の減少の原因に関して考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料調査に関しては一部未達成の部分もあるが、逆に当初の予定よりはかどっているところもあり、4年間の研究期間全体としては順調と評してよい。研究成果報告に関しては、若干の遅れが懸念される部分もあるが、不十分な調査に基づいた安直な成果報告といった研究上意義のないことを行うより、十分な調査の上に有意義な成果を出すべきものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果に基づいてさらなる史料収集を行う。学校文書の所蔵状況は実際に学校に入らない限り分からない(必ずしも目録が存在しているわけではない)部分もあるが、今年度に増して精力的に進める必要がある。また、今年度より収集をはじめている道府県統計書のデータベース化も行っていく。これらの作業をもとに、研究成果の報告を行えるようにしていきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には当初の計画に基づき執行する予定である。今年度の残金の発生は、国立国会図書館所蔵史料のデジタル化が進んだことで複写料金が従前より低廉になったこと、旅費の微細な差異(極力安い航空券を利用したこと)などが主たる理由である。これらの節約により基礎資料の収集は今年度の予想以上に進めることができた。上述の費用の低減は次年度以降にもつながることであり、その節減分(設備備品費・消耗品費の一部)を史料調査の費用(旅費)に回し、成果報告ができるための体制を整えていくことにする。また、統計資料のデータベース化は学生アルバイト(謝金)を使い、次年度に完了させたい。
|