2013 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国における「スタンダードに基づく改革」に関する研究
Project/Area Number |
23730768
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
長嶺 宏作 日本大学, 国際関係学部, 助教 (30421150)
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Keywords | アメリカ / 教育学 / 教育財政 / アカウンタビリティ / スタンダード / 教育改革 / コミュニティ |
Research Abstract |
本研究課題は「スタンダードに基づく改革」による①教育制度構造と②教育財政構造の変化を考察することにある。平成23年度、平成24年度の研究において、連邦政府の教育政策が州と地方学区にどのような影響を与えているのかを明らかにしてきたが、平成25年度ではケンタッキー州を事例に、「スタンダードに基づく改革」がガバナンス構造がどのように変化したのかの解明を目指した。 ケンタッキー州では学区間格差の是正を求めるローズ判決が出された。この判決とともに教育財政の再配分が行われるが、判決において教育の責任が州にあることが明確になったことで、教育財政改革と並行して教育ガバナンスが問題にされ、州を中心とする教育行政機構へと再編されていく。 具体的には、公選制の州教育長職が批判され、州知事に任命された州教育委員会から教育長を選出する方式に改革された。また、公選制の地方学区教育委員会は維持されたものの、その権限を「学校を基礎とする経営(School-Based Management)」へと分権化され、地方学区を中心とする伝統的な教育制度が改革された。 さらに、これらの制度がアカウンタビリティを求めることで、州と学区が相互に監視されることで体系化されていった。これらの制度は州民の教育改革の機運の高まりに応じて作られ、必ずしもトップダウンで決定されたものではないが、州を中心とする教育行政機構が整備され、連邦政府の教育政策と連動していく基礎を与えた。 本研究の成果は、日本教育学会第72回大会において「『スタンダードに基づく改革』による教育行政機関の変容」として発表した。
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Research Products
(2 results)