2011 Fiscal Year Research-status Report
デューイ教育学構想における教師教育論の解明と教師の専門的力量形成のための理論構築
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23730772
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
伊藤 敦美 敬和学園大学, 人文学部, 准教授 (80387315)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 教育学 / 教師教育 / デューイ教育学構想 |
Research Abstract |
19世紀末から20世紀初頭のシカゴ大学教育学科及び教育学部のカリキュラム分析を行うことによって、ジョン・デューイ教育学構想における教師教育論を解明し、我国における教師の専門的力量形成のための理論を構築することを目的として研究を進めた。平成23年度は、デューイが学科長を務めた1895~1901年度のシカゴ大学教育学科のカリキュラムの調査分析、学部長を務めた1902年度と1903年度の教育学部についての検討を行った。その結果、シカゴ大学教育学科におけるデューイ教師教育カリキュラムには、(1)夏学期のマイナーコースの履修形態による授業の開講、(2)教職経験を考慮した授業プラン、すなわち、連携する諸学校における観察や実習時間の教職経験の有無による増減を可能とする授業科目構成、(3)シニアカレッジコースへの学校現場での実践を伴う授業科目の開設、(4)グラデュエイトコースにおける中等教育に関する授業科目の充実、(5)他学科との連携といった特徴が見出された。すなわち、夏学期における現職教員の教育、シニアカレッジコース及び他学科における基礎的理論の学習及び実践を伴う授業を通しての実証的な教育学研究、実践の経験に基づいたグラデュエイトコースにおける理論研究及び中等教員養成というカリキュラムデザインである。こうしたカリキュラムによって、デューイは、教育学科において、教育学研究・教育、師範学校や教員養成校の教師・教育長などの専門職教育及び中等教員養成を実践していた。 先行研究においては、デューイの教師教育カリキュラムに関する直接的な研究は極めて少ないことから、教育学科の具体的なカリキュラムの分析よりデューイのカリキュラムデザインを導いた本研究の意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災により実家・家族が被害を受け、長期休暇に海外での研究調査が困難となったため、当初の計画通り研究を進めることができず、現時点ではやや遅れている。デューイが学科長を務めた1895~1901年度のシカゴ大学教育学科のカリキュラムについてはおおよそ分析を行うことができた。また、デューイ学部長時代及びパーカー学部長時代の教育学部の概要についての分析を行うことができた。しかしながら、教育学部の具体的なカリキュラム、及び、デューイが教育学部の整備・拡充のためのモデルとしたコロンビア大学ティーチャーズカレッジのカリキュラムについての資料収集が十分に行えておらず、分析も不十分となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災により実家・家族が被害を受け、長期休暇に海外での研究調査が困難となったため、海外旅費として割り当てていた旅費を使用することができなかった。平成24年度は平成23年度に予定していたアメリカにおける調査を実行し、研究目的を達成することを目指す。具体的には、デューイ学部長時代及びパーカー学部長時代の教育学部のカリキュラム及びデューイが教育学部の整備・拡充のためのモデルとしたコロンビア大学ティーチャーズカレッジのカリキュラムに関する資料収集・分析を行い、シカゴ時代のデューイ教師教育カリキュラムを明らかにする。調査研究の成果は第56回日本デューイ学会研究大会において発表し、諸研究者より指導助言を受ける予定である。最終的には、平成23年度及び平成24年度の研究より得られたデューイ教師教育論に基づき、「学問研究に裏打ちされた教師養成教育及び教師教育の在り方」を解明することにより、教師の専門的力量形成のための、実践性と学問性を兼ね備えた大学における教師教育の理論枠組構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として、アメリカにおける調査研究費(70万円)及び調査研究に必要な物品の購入(30万円)に充てる。具体的には、シカゴにおけるデューイ学部長時代及びパーカー学部長時代の教育学部カリキュラムの調査、ニューヨークにおけるコロンビア大学ティーチャーズカレッジのカリキュラムの調査を予定している。また、研究成果を吟味し、諸研究者から指導助言を受けるための研究発表の旅費(10万円)として使用する。資料コピー、図書購入、謝金としての使用も予定している(14万円)。
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