2013 Fiscal Year Annual Research Report
日中の幼稚園の成立と展開に関する比較史研究-母親の位置づけを主要な視点として-
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23730780
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Research Institution | ARIAKE College of Education and the Arts |
Principal Investigator |
日暮 トモ子 有明教育芸術短期大学, 子ども教育学科, 准教授 (70564904)
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Keywords | 幼稚園 / フレーベル / モンテッソーリ / 母親 / 陳鶴琴 / 張雪門 / 倉橋惣三 |
Research Abstract |
本研究は幼稚園の成立と展開の過程を、母親の役割や位置づけを主たる視点に置き、我が国と中国の状況と比較することを通じて、我が国の幼稚園制度の特徴の一端を明らかにすることを目的としている。両国が海外から幼稚園教育を移入した過程において、母親の教育的役割がどのように語られていたかを軸として、比較し検討することを試みた。 ・平成25年度の前半は、中国に長期間滞在し、国家図書館、上海図書館、北京大学、北京師範大学等において、フレーベル、モンテッソーリ関連の史資料収集、および、近代中国の幼児教育者の著書の収集を継続して行った。その史資料を一覧表にまとめ、翻訳および分析を行った。平成25年度の後半は、学会発表等を行いつつ、本研究の成果のまとめを行った。平成25年12月には追加調査として、再度上海での史資料収集を行った。 ・史資料の分析の結果、近代中国におけるフレーベルの恩物とモンテッソーリの教具の紹介は、1910年代頃より、日本経由とアメリカ経由の双方で行われたことを確認することができた。また、当時モンテッソーリ教具の使用が奨励された背景には教育を理解しない婦人が家庭で幼児を教育するよりも幼稚園で教具を用いたほうがよいとする意見があり、家庭における母親の教育的役割に対する批判的意見が存在したことを明らかにした。さらに、教具の使用が固定的、限定的であって児童の個性と需要に合っていないという、モンテッソーリ教育の原理そのものへの批判が時代を下るにつれて登場し、1930年代に入ると、中国の中央行政機関が教具購入は不経済で、設計教授法(プロジェクト・メソッド)のほうが経済的であるとの見方を示していたことが明らかになった。 ・本研究に関連する研究成果として、近代中国におけるモンテッソーリ教育法の受容について学会発表を行った。また、諸外国の就学前教育・保育の制度・政策の動向に関する論文を執筆した。
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Research Products
(3 results)