2011 Fiscal Year Research-status Report
多文化国家オーストラリアにおける教育基準・内容の統一化とその受容に関する研究
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23730785
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 麻衣子 北海道大学, 留学生センター, 講師 (10545627)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育学 / 教育基準 / ナショナル・カリキュラム / 全国学力調査 / オーストラリアの教育 |
Research Abstract |
本研究は、オーストラリアで現在推進されている「統一性」を指向する学校教育改革の政策的背景と、それに対する各州の対応の「ちがい」とを明らかにすることを目的とする。具体的には、全国学力調査の推進と、それにより必要とされるに至ったナショナル・カリキュラムの開発という連動する二つの取り組みに焦点を当て、多文化・多言語社会であり、初等中等教育の責任を各州が持つ同国で、教育基準・内容の「統一化」がどのように進められ、受容されているのかを検討する。 平成23年度は、これまでの調査・研究で得られた資料、各機関のウェブ上で公開されている政策文書・報告書等、大学図書館の電子ジャーナル等を活用し得た文献を整理・分析することにより、1980年代後半以降継続して為されてきたオーストラリアにおけるナショナル・カリキュラムの必要性に関する議論を整理するとともに、同国の学校教育における「カリキュラム」そのものの位置づけを考察した。これらの成果の一部は、日本比較教育学会第47回大会(6月,早稲田大学)で報告した。また、当初の予定では、このような「統一性」を指向する改革動向の影響を、あわせて進められている教育行財政改革や教員組合の反応から分析することにしていたが、先に各州の対応についての全体像を押さえておく必要性を感じ、特に現在開発中の「ナショナル・カリキュラム」の実施状況について、各州教育省および教育審議会の対応を整理した。3月には、すでにナショナル・カリキュラムを州内のすべての学校で試行的に導入しているクイーンズランド州を訪問し各機関にて関連資料・情報を収集するとともに、特に「学力」低迷の著しい遠隔地先住民コミュニティの地域教育審議会(TSIREC)および学校を訪問し、学校現場ではどのような対応・工夫が為されているのかを調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、研究計画に記載した内容を概ね実施できたと考える。当初予定していた教育行財政改革や教員組合の反応の分析・検討は行わなかったものの、先に平成24年度に行う予定の各州の動向・対応の全体像の把握に努めたことにより、次年度の調査への足場が構築されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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Research Products
(1 results)