2013 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育における女性の学びと教育の環境構築に関する日米の比較研究
Project/Area Number |
23730790
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
虎岩 朋加 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (00566721)
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Keywords | ジェンダー / 高等教育 / 学び / エイジェンシー / 言説 / 女性学 / フェミニスト教育学 |
Research Abstract |
本研究では、社会科学・人文科学を専攻する日米の博士後期課程在籍女性学生、若手研究者にインタビューを実施し、実証的な観点から以下のことを明らかにした。(1)後期課程で学ぶ(学んだ)アメリカの女性たちは、高等教育に実際的価値を見出しているのに対し、後期課程に学ぶ(学んだ)日本の女性たちは、高等教育の価値を具体的明瞭な言葉で表現することができない。(2)後期課程進学した日本の女性たちは社会一般の通年や既存の社会制度との不適合の感覚を共通してもっている。(3)後期課程の学びや、研究者としての活動は社会の中に自己を位置づけ自分自身の言葉を生成させていくための女性のエイジェンシーの何らかのはたらきと考えられる。 また、本研究では理論的観点から以下のことを明らかにした。(1)女性学では「言葉」の問題は女性の自己形成都のかかわりから重要な問題として位置づけられてきた。(2)ジョン・デューイが理論化する「言葉を絶するもの」を、日本の女性たちの格闘-ことばにならないものを言葉にしようとする格闘-とのかかわりで高等教育の学びの中に理論化し直すことができる。(3)リュス・イリガライの差異の哲学から解釈可能な教育関係は、既存の言説に規定された教育関係とは異なる教育関係を想像する手がかりを与えてくれる。 以上の、実証的・理論的研究の成果によって、高等教育の学びを、女性のエイジェンシーを表現することを可能にするツールとしてとらえるための分析枠組みの構築に帰結した。
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