2011 Fiscal Year Research-status Report
教育環境別にみるニューカマーの子どもたちの能力実態の解明
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23730792
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
二井 紀美子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30549902)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 外国人児童 / 能力 / アセスメント |
Research Abstract |
研究計画1年目の平成23年度は、ニューカマーの子どもたちの能力実態の調査実施に向けた準備として、文献検討と、調査(検査)方法および項目の検討・作成を中心に行った。それに先立ち、まず現在の公立学校でのアセスメントの状況を把握するために、外国人児童の多く在籍する学校関係者に聞き取り調査を行った。その結果、編転入児童の場合、以前の状態を知る手がかりがほとんどなく、編転入手続き時の面談で保護者から聞き取る成育歴などの情報に限定されていることが分かった。また、当初能力実態の解明の対象をブラジル人(小学4年~中学生)に絞って計画していたが、社会性・心理発達の側面を検討する上では、幼児期の子どもを対象とすることが有効であると判断し、幼児期の子どもの状態をできる限り文化バイアスを排除した形で把握する方法について検討を重ねた。なかでもSDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)については、多言語で提供されていることや、低年齢の子どもたちについても保護者や保育者が質問紙に回答することで対応できることのほか、簡易な質問で構成されていて調査が回答者の負担になりにくいことなどから、調査を実施しやすいことが分かった。このSDQなどの検討結果に基づき、平成24年度ブラジル人園児に対する調査を予定している。さらに、日本からブラジルに帰国した子どもたちの再適応の問題について現地調査を行い、再適応するうえで問題を抱えやすい子どもたちの背景情報(保護者の教育観や家庭の経済状況など)の傾向を確認した。このブラジルに帰国し問題を抱える子どもたちの家庭環境の傾向については、今後実施する教育環境調査項目作成の際の参考とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の達成目標のうち最も重要な検査ツールの選定、検査項目の選定が完了し、平成24年度もほぼ計画通りに調査実施を行うことができる体制が整ったから。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、幼児を対象に、社会性・心理発達の調査を実施する。合わせて、小学校、中学校段階の児童生徒や、高校・大学に進学した者への調査を行い、能力実態や発達を阻害する要因および促進する要因の解明を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度内に行うはずだったブラジル調査を、平成24年3月から4月にかけて年度をまたぐ形で実施したため、資料等の購入が次年度予算からの精算となったことなどから、次年度に繰り越す研究費が発生した。次年度である24年度は、学会発表や調査のための旅費のほか、検査に必要な物品の購入や文献資料の購入に主に使用する。
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Research Products
(2 results)