2012 Fiscal Year Research-status Report
教育環境別にみるニューカマーの子どもたちの能力実態の解明
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23730792
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
二井 紀美子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30549902)
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Keywords | 外国人幼児 / 能力 / アセスメント |
Research Abstract |
研究2年目の平成24年度は、23年度に行ったニューカマーの子どもたちの能力実態に関する文献検討と調査(検査)方法および項目の検討から、対象を幼児に絞って調査を実施した。具体的には、ある認可外保育施設に通うブラジル人幼児を対象に、(1)語彙調査、(2)SDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)、(3)成育歴調査、(4)親の教育意識調査、(5)家庭教育環境調査の5つの調査を年間を通して行った。 (1)の語彙調査については、日本語とポルトガル語の2言語を調査した。(2)SDQについては、5-6月期と10-11月期の2回行った。 語彙調査から、いくつかの傾向は読み取れたものの、断定には至らなかった。たとえば、ブラジル人幼児は、教育・保育期間の長さを問わず、日本人幼児に比べて形容詞の間違いが多い傾向がみられたが、これは「日本に住むブラジル人の子ども」の傾向なのか、「ブラジル本国の子どもも含めたブラジル人」の傾向なのかは判断つかない。そこで、比較するためのブラジルでの語彙調査の可能性をブラジルの幼児教育研究者と検討した結果、平成25年度に実施することにした。 また能力把握のアセスメント方法の理論的枠組みについても検討を重ね、論文にまとめた。これは、不就学児のアセスメントを分析したものであるが、今後は日本の保育施設に通うブラジル人の子どもたちのアセスメント結果と照らし合わせて、検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年間を通じて、ほぼ計画通りに調査を実施することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
ブラジル人幼児を対象にさらに社会性・心理調査、語彙能力調査等を継続して行い、能力実態と促進・阻害要因の解明を図る。在日ブラジル人幼児の就学・就園経験をより詳細に分析し、その中から能力を伸ばす促進要因やその反対の阻害要因を分析していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度中に渡伯し比較調査を行う予定であったが、追加調査の準備や日程の関係で平成25年度に行うことにしたため、次年度使用額が発生した。ブラジルの幼児教育施設で、幼児を対象とした語彙調査を行うための旅費として執行する予定である。また日本比較教育学会や日本教育学会への参加費として使用する。さらに日程が合えば、ブラジルで開かれるデカセギシンポジウム参加のための旅費として使用する。
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