2013 Fiscal Year Research-status Report
教育環境別にみるニューカマーの子どもたちの能力実態の解明
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23730792
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
二井 紀美子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30549902)
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Keywords | 外国人幼児 / ブラジル人 / SDQ / 語彙調査 |
Research Abstract |
研究3年目の平成25年度は、前年に続き対象を幼児に絞って調査を継続した。平成25年度に行った研究実績は、大きく分けて(1)SDQ調査の分析、(2)幼児の語彙調査の実施、の2点である。 (1)SDQ調査の分析 平成24年度にブラジル人保護者と保育者に行ったSDQ調査の結果については、日本人保護者と保育者を対象とした先行研究のSDQ調査の結果と比較しながら分析を行った。その結果、①ブラジル人保護者のほうが日本人保護者よりも保育者との一致率が低い、②子どもへの「支援不要」という判断については保護者と保育者の評定が一致しやすく、「要支援」については一致しにくい、③ブラジル人保護者と保育者との評定のずれには2種類あり、向社会性については保護者は「支援不要」で保育者は「要支援」というずれが目立つ一方、情緒面では保護者が「要支援」で保育者は「支援不要」というずれが目立つ、という3点が明らかとなった。言語・文化背景・生活習慣・家族観などの異なる外国人の子どもの能力や状態を把握するためのひとつの方法は、周りの大人による観察であるが、保育者が自分の認識を客観視し、子どもに対する保護者と保育者同士の共通理解を深めていくために、SDQを子どもの状態把握の一助として使うことが可能であることを示した。 (2)幼児の語彙調査の実施 これまでの予備調査で在日ブラジル人幼児に対して日本語とポルトガル語の語彙調査を行い、日本人幼児と比べて形容詞の間違いが多い傾向が見られた。平成25年度は、この傾向が「日本に住むブラジル人の子ども」の傾向なのか、それとも「ブラジル本国の子どもも含めたブラジル人」の傾向なのかを明らかにするために、日本の日本人幼児とブラジルのブラジル人幼児に対する語彙調査を実施した。また、ブラジル・サンパウロ大学において、幼児教育関係者を対象に語彙調査の結果の中間報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は分析比較のためのブラジルのブラジル人幼児調査を実施することができ、今後この分析を進めることで、これまで日本人との比較しかできなかった在日ブラジル人幼児の能力実態について、より的確に把握することが可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる平成26年度については、在日ブラジル人幼児の語彙能力の実態をより精緻に解明するために、居住国である日本の子どもたちと、出身国のブラジルの子どもたちに実施している語彙調査の結果と比較する。ブラジルにおいては、語彙能力に関して社会階層と教育成果の間に関連があるか検討を行い、在日ブラジル人の子どもたちの能力と比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予算額に合わせて執行したが、為替レート等により次年度使用額が発生した。 学会参加のための国内旅費として使用するほか、ブラジルでも成果発表を行うための渡航旅費として執行する予定である。また、発表に必要となる機器や、論文執筆に必要な文献などの物品費としても使用する。
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Research Products
(1 results)