2012 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生と多文化教育の可能性――フランスの地域語・バイリンガル学校を例に
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23730793
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 真之介 神戸大学, その他の研究科, 研究員 (70533462)
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Keywords | バイリンガル学校 / 移民 / 地域語 / ブレイス(ブルトン)語 / エウシカディ(バスク)語 / カタルーニャ(カタラン)語 / アルメニア / ムスリム |
Research Abstract |
平成24年度は地域言語学校の事例調査として、前年度に引き続きブレイス(ブルトン)語のディワン学校複数、エウシカディ(バスク)語のイカシトラ学校複数のフィールドワークを行った。それに加えて、今年度はカタルーニャ(カタラン)語のラ・ブルッソーラ学校複数のフィールドワークを新たに行った。移民言語学校の事例調査としては、引き続き在仏アルメニア学校とコンタクトを取りつつ、新たに在仏アルメニア学校1校のフィールドワークおよび、ムスリム学校1校、ムスリム協会複数の調査を行った。さらに、母語が故国の公用語になっていない集団に注視し、1990年代から形成されているクルド人コミュニティ、アッシリア人コミュニティの調査も開始し、学校建設プロジェクトの有無を確認中である。 当該年度の主な研究目的は、前年度の継続調査に加えて、移民言語学校と在仏アルメニア学校を比較し、前年度とは反対に運営に関する相違点を抽出することであった。そしてそこから、これらの移民集団がアルメニア系集団とはどのような差異があるのか、アルメニア系とアルメニア系以外の移民集団を違わしめている要素は何なのか、特に母語教育を行なう際に浮かび上がる差異に注目して研究した。 地域言語学校と移民言語学校の比較分析では、移民言語学校の調査が進行中であるため、今年度は地域言語学校内の比較を重点的に行い、特に学校運営の相違点について検討を行った。その結果、フランス国内だけの地域言語であるブレイス語が単独での活動や資金調達をしなければいけないのに対し、スペインの地域言語でもあるエウシカディ語、カタルーニャ語はスペインの各自治政府とのつながりを使って活動や資金調達、教師の越境リクルートをするという違いがみられたのは重要であろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたポーランド人コミュニティではないという点が申請書と異なるため。その代わりクルド人コミュニティやアッシリア人コミュニティなど、現在ダイナミックに動いているマイノリティのコミュニティを調査しており、加えて地域語学校においても、当初の予定になかったカタルーニャ語の学校を調査することができ、当初の計画よりはるかに広範囲に動くことができた点は評価されてよいだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでフィールドワークを行ったアルメニア学校と地域語学校、ムスリム学校と引き続きコンタクトを取りつつ、今後は母語が故国の公用語になっていない集団に注視し、クルド人コミュニティ、アッシリア人コミュニティの現状を調査する予定である。加えて、スペイン語とのバイリンガル教育を進めているパリのモンテッソーリ学校の調査も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の予算700,000円のうち、40,000円を国内成果発表旅費(9月、於高松)570,000円を海外調査旅費に使用し(9月の渡仏)、20,000円を外国語添削の謝礼、70,000円を報告書印刷代に使用する予定である。
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