2012 Fiscal Year Research-status Report
大学教育における学習成果ベースの学生支援モデル構築に関する研究
Project/Area Number |
23730797
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小貫 有紀子 九州大学, 教育改革企画支援室, 助教 (30553416)
|
Keywords | 高等教育 / 学生支援 / 学習成果 / 大学教育 |
Research Abstract |
当該年度は、モデル構築に向けた国内の状況調査を行った。特に先駆的な取組を行っている大学への訪問調査、関係するセミナーや学会等への出席による情報収集に加え、文献調査も積極的に行った。 中でもテーマに関係する研究者とのコネクション強化のために、当該年度中に3回の研究会を開催し、情報交換および研究進捗状況へのコメントをもらい、研究の方向性へ反映していった。中でも高等教育における学生支援の現状は混沌としており、中心的なモデルの不在や、理念の希薄性が現場における実践に混乱をもたらしていることを確認し、現代的な学生支援には「学習成果」を基本とした新たな理念の確立が不可欠であることが明らかとなった。 特に戦後日本の高等教育において学生支援の概念が米国講師よりもたらされた後に、学生相談の分野(カウンセラーを中心とした団体、学会等)における学生支援と、学生生活支援における学生支援では、異なる概念が発達していったことに加え、現代の大学教育改革の中核となる「学習者中心主義」と乖離した形で学生支援が形成されてきた背景を明らかにした。 それに加え、概念的なモデル構築だけでなく、実践に応用可能なスキル、プロセスまで明らかにした上で提示していくことの必要性を痛感した。当初研究計画で予定していた学生支援のモデル開発は、理念と制度両面から構築していく予定であったが、より具体的な取組改善へとつなげていくために、米国で主流の「学習成果査定シート」やルーブリックなどの手法の開発も研究視野に入れていくこととした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画と大幅に異なる点は、米国調査を初年度から最終年度に移行した点である。日本の状況調査を今年度集中的に行った結果、当初掲げていた仮説以上に、我が国の学生支援活動が諸外国に比べて遅れを取っており、特に理念形成が現代の大学教育に対して、全く再定義されておらず、混沌とした状況であることが明らかとなった。そのため、米国調査への目的や視点がより具体的にすることができ、当初予定していた訪問先を変更し、集中的に情報収集を行う準備が整った。よって当初予定よりもより発展的な研究成果が望めると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、前半に米国調査を行う。米国調査では、日本の事情を踏まえ、具体的な学習成果ベースの学生支援を推進するためのプロセスや手法の情報収集に努める。さらにこれらの手法を用いている具体的な大学のケースを集めることとする。後半はこれまでの研究成果を踏まえ、論文執筆を中心に行う。そのために必要な図書や文献コレクションの収集にも努めていくこととする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費は米国調査、および国内の情報集集のための調査旅費として使用する。米国調査は最大14日間、3大学および1団体を訪問予定である。 また、論文執筆に当たって必要なPCソフトウェア等を購入するとともに、通年を通して学生支援に関する図書コレクションのための図書、文献の購入も行っていく。
|
Research Products
(4 results)