2013 Fiscal Year Annual Research Report
性別・専攻別進学行動の規定要因と高等教育カリキュラムの構造的変動
Project/Area Number |
23730799
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Research Institution | St. Catherine University |
Principal Investigator |
長尾 由希子 聖カタリナ大学, その他部局等, 講師 (00570821)
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Keywords | 複線型専門職 / 専攻 / 教養知・職業知 / 進路 / ジェンダー |
Research Abstract |
当初計画では最終年度は、欧米との比較に重点をおき本研究課題の完成および博士論文の提出を行う予定であった。しかし、専攻別・学校種別・性別と細分化した分析を行う本研究課題のためには、新たに公開されたデータを付加するなどしても、既存データの二次分析ではサンプル不足であり、十分に説得的で安定した分析を行うことはできなかった。こうした課題を克服するため、平成24年度以降を中心に分析枠組み、変数やデータセットの再検討、また、私費により約40名の女性にインタビュー調査などを実施し、分析の補強等を試みた。しかしながら、博士論文レベルとしては十分に説得的な分析や枠組みにはなっていないと判断し、平成25年度、博士論文を一旦提出したものの、撤回手続きをとった。 他方で予定年度内ではデータが足りないものの、特定の専門職群(「複線型専門職」)の増加、その専門学校・短大からの拡大と大学への波及、そうした進路選択構造を特に一部の女性が支えたという本研究課題の視座の有効性自体は失われないと考えた。また、博士論文のテーマと本研究課題とが関連はするが完全には合致していなかったため、個別の論文執筆が疎かになったという反省点があった。 そのため方策として(1)現時点でよりデータをもとに主張できる小テーマをかたちにする、(2)次年度以降の研究を本研究課題の発展的位置づけに設定し、博士論文をそのより近接した延長上に、男女の「複線型専門職」の進路形成に関するものとして設定することにした。(1)については、高校生の進路選択の際に参照される『入学案内』を素材とし、そこで提示される教養知/職業知のウェイトの変化などを学会報告で指摘した。その背景としては性別役割分業を前提にしながら女性の進学や就職が拡大してきたこと、高等教育機関側もそれを利用しながら発展を図ってきたことなどが挙げられる。本内容は論文にし、投稿を行う予定である。
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Research Products
(3 results)