2011 Fiscal Year Research-status Report
日韓の若者の職業教育現状と起業家精神の形成(若者の意識調査に基づき)
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23730803
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
尹 敬勲 流通経済大学, 法学部, 准教授 (80557629)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
近年、世界的経済不況の中で若者の就職状況は一層難しい状況である。またグローバル競争の中で、若者の就労環境も日々変化している。このような状況の中で、日韓の若者の職業意識を比較研究することで、今後若者に対する職業教育のあり方を模索することを本研究の課題としていた。そのために、2011年度には、日本と韓国の若者が就職先としてどのような職種に興味を持ち、グローバル時代に必要な人材として必要な能力として英語や異文化に対する理解度を深層面接を通じて調べて来た。また、韓国の大学生の職業意識を調べる上では、近年注目されている企業のCSR活動と若者の社会貢献意識の因果関係を検討してきた。 現時点で日韓若者の職業意識の中で、共通している部分は世界的不況の影響でもあるが、公務員など、終身雇用が保障されている安定的な仕事へ注目しているという事実である。しかし、その就職を準備する中で、日本の若者に比べ、韓国の若者たちが公務員試験の準備のために、民間の教育機関へ教育費用の支払い、そして試験を受験する上で要求されるTOEICなどの語学成績を確保するのに専念している。つまり、英語は、韓国の若者にとっては、職種に関係なく、備えるべき能力とされており、それに対する大きな負担を抱いているのが韓国の大学生の特徴であると理解できる。 もう一つ、大きな違いは、企業のCSR活動に関する関心が、韓国の若者たちは高いということである。今回の調査では、近年、韓国社会で寄付に関する関心が高まり、その影響で若者が就職先として社会貢献活動に力を入れている企業、または社会起業家の活動に注目しているという結果を把握することが出来た。この点に関しては、今後より突き詰めて研究する課題であるように思われる。2012年度においても、上記の研究成果を踏まえて、引き続け、韓国の若者の職業意識を調べながら、日本との違いを把握していきたいと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本と韓国の若者の起業家精神を比較調査するためには、単に起業への関心度を比較すると一定の結果が出ると考えやすい。しかし、それぞれの国の政治経済的状況が異なる中で、起業家精神を調べるには、彼らがどのような意識をもっているのか、そして彼らが起業するか、しないかを決めるうえで重要な要素を一つ一つ確認し、環境的要因を把握していくことが重要であると思われる。したがって、今年度の研究では、グローバル社会の中で若者が起業する際に重要な能力として評価されている英語に対する認識と学習活動を質的調査によって把握した。この部分は、日本と韓国の若者の意識を比較するうえで、最も異なる特徴として研究の目的を設定する際にたてた仮設を検討するうえで意義があったと思う。また、研究の目的においても記したように、社会貢献に対する関心が、彼らの起業と就職先を決めるうえでどのような意味を持つのかを把握することを試みた。この部分も、起業する際に、社会貢献活動と関連する分野への進出が多いため、その部分は日本と韓国の若者に共通する部分があると思ったからである。この部分は、起業を単に経済的収益を得る手段としてとらえず、企業とは社会の公器であることを、若者がどのように認識しているのかを把握するうえで意義があった。この部分は、研究の目的の軸となる一つの部分であるため、今後も突き詰めて調べていく予定である。以上の二つの側面からみると、初年度の研究としては、おおむね順調に進んでおり、計画どおりに進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年の研究は、地方の大学の若者の起業意識を徹底的に調べていくとともに、日本と韓国の若者の起業家精神を形成する人々の教育内容と、若者の意識を質歴調査と量的調査を並行して調べていくつもりである。第一に、釜山などの地域の大学生の起業に対する関心度の調査である。第二に、若者が英語教育のほか、留学などの海外での体験をどのように活動し、自らの職業意識の形成に活用しているのかを確認していく。第三に、大学生が起業という選択肢を選ぶうえで、どのような分野と職種に興味をもっているのかを検討する。第四に、近年、急増してるソーシャルネットワークサービスによって、若者はSNSを通じてどのように職業意識を形成しているのか検討していく。最後に、引き続き、社会貢献に対する文化の違いが、日本と韓国は似ている部分もあるが、若者の場合、少しギャップがあるのも事実である。したがって、この部分は、より突き詰めてその相違を把握していくつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、日本と韓国の若者の起業家意識の比較という意味で、韓国に対する旅費などが大きな比重を占めていくと思われる。大学生たちへの聞き取り調査を行うと、限られた期限のなかで、聞き取りをしていくうえで、積極的に韓国の大都市と地方を訪れ、その地の様々な専門領域を勉強している大学生の意識を調べていくつもりである。そして、書籍などの購入費、アンケートを行ううえで必要な物品費用などがかかると予想される。できる限り、よい研究結果が出るように、韓国へ積極的に訪れ、聞き取り調査とアンケート調査を並行し、問題の本質を把握していきたいと思う。
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Research Products
(4 results)