2011 Fiscal Year Research-status Report
現代米国高等教育における学生支援に関する実証的研究―「協同モデル」のインパクト
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23730804
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小島 佐恵子 北里大学, 一般教育部, 講師 (40434196)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高等教育 / 学生支援 / 専門職員 / 大学院養成課程 / アメリカ |
Research Abstract |
本研究は、1. 米国高等教育における学生支援の80年代以降の変化と現状、2.学生支援にかかわる専門職員が何を学び、どのような能力を身につけ、教員や他部署と協力体制を築いているのか。またそれは学生の学習成果の向上にどのように寄与しているのか、3.学生支援活動全体がどのように評価され、改善に結びつけられているのか。他者とのコラボレーションによってもたらされる変化は何か、の3点を明らかにすることを主な目的としている。 これらについて、今年度はとくに1と2について、基礎的資料を収集した。文献調査の一部については、アメリカ教育学会(2011年10月)で発表し、『コア・FYEジャーナル』にまとめた。具体的には、学生部と教務部のコラボレーションによる教育プログラムの開発・実施は、すでに20年以上の経験が蓄積されているものの、その詳細な成果はあまり明らかにされておらず、近年になってその評価が行われた。その意義と課題についてまとめた。この評価プロジェクトの取組には慎重な見方も呈されており、コラボレーション自体にも懐疑的な見方を呈するものもある。今後はこの議論の詳細を明らかにするとともに、ポイントを整理していきたいと考えている。 また、文献調査をふまえたインタビュー調査(2012年3月)では、学生支援に携わる専門職員の大学院養成課程をもつジョージア大学とフロリダ州立大学を訪問し、教員と大学院生の双方に制度の実態を尋ねるとともに、キャリア形成に関する意識などについても尋ねた。さらにコミュニティカレッジや歴史的黒人大学(タラハシーコミュニティカレッジ、モアハウスカレッジ)では、学生部の職員を中心に他部署との協力体制に関する実態等について尋ねた。また米国IR協会(AIR)では、学生支援と大学のデータ活用に関する点について尋ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画全体としては、おおむね順調に進展している。資料収集はまだ不十分な点もあるが、随時収集を進めている。また、インタビュー調査は、冬期の天候の都合や先方の都合から訪問機関を多少変更したが、それ以外については順調に実施できた。資料収集については、近年の動向を反映した書籍や資料、オンラインジャーナル等を集めたが、今後はさらなる精読が必要である。また、インタビュー調査は2012年3月に大学院養成課程を持つ大学や、より多様な学生のニーズに対応している大学(コミュニティカレッジ、歴史的黒人大学)等、複数のタイプの大学を訪問することができた。インタビュー内容についても、今回の結果を受け、見直しや追加の必要があるが、基礎的な確認はできたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も文献収集およびインターネットを活用した資料収集を進め、それを生かしたインタビュー調査を行う。2011年度にインタビュー調査に協力していただいた方の中で今後も継続して協力していただける方がいたため、メールやスカイプなどを利用して、資料に対する見解や今後のインタビュー調査の方向性などについて、助言をいただいたり、意見を交換しながら研究を進めることを考えている。それにより、実態に対してさらに理解を深めるよう努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はインタビュー調査を複数回予定しており、また学会発表も予定しているため、当初の予定どおり、初年度よりも旅費の割合が高くなるが、全体的な配分には留意して進めたい。また資料収集やインタビュー記録のテープ起こしなどは継続して費用がかかることが見込まれる。
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