2011 Fiscal Year Research-status Report
具体的な改善例から見るIRによる学生の情報の効果的利用に関する研究
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23730807
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡田 聡志 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (00581779)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Institutional Research / Enrollment management / performance indicator / 学生支援 / 教育改善 |
Research Abstract |
本研究は,大学における学生の情報を機能的に管理・運用する枠組みとしてIR(Institutional Research)に着目し,その具体的な改善例やモデルから学生の情報を分析することで可能となる学生支援と教育改善のあり方を検討するものである。本年度は,米国を中心とした諸外国におけるIRを利用したEM(Enrollment Management)について文献研究から検討し,次年度に実施する先進事例調査の準備を行うとともに,わが国における学生の情報の管理・運用についての現状の整理を実施した。 EMはその機能から諸類型に細分化することが可能であるが,幾つかの大学ではEMの各機能についてkey performance indicatorsを設定することにより,活動成果や改善を実質的に評価していることが明らかになった。また,文献読解に加え,計量書誌学的観点からEMに関連する文献の著者・所属・機関特性等の情報を整理し,先進事例抽出のためのデータベースを作成した。加えて,収集したEMに関する論文についてテキストマイニングによる探索的分析を実施し,EMの各機能に関連するキーワードの析出等を行った。国内の大学における学生の情報管理・運用に関しては,各種機関特性から機関類型を作成し,各類型に該当する大学関係者の聞き取り調査を実施し,情報管理に利用されているソフトウェアやアクセス権限,運用状況やスケジュール等の現状に関する把握を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は特にEMに関する文献研究に焦点を当て,文献について読解・計量書誌学的整理・テキストマイニング等の多角的アプローチを採用し,また対象とする文献の範囲をできるだけ広げ,EMに関する知見の整理と精緻化に時間を掛けたため,当初の研究スケジュールからは若干の遅れが生じている。但し,この作業は本研究で予定している調査を実施する上で必要な段階であり,当初より状況として想定された事態であるため,次年度で本研究を完遂できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度に選定されたIR による学生支援と教育改善の先進事例について,特に米国の大学を対象として学生の情報管理・運用に関する訪問調査を実施し,EMおよびIR の実働の細部を確認・補完する。加えて,よりマクロにわが国における学生の情報管理・運用の現状についてアプローチするため,本年度の研究スケジュールから実施が遅れている大学各部局(事務局長等)を対象にした調査を実施し,その構造と日本的特質について検討する。これらの研究成果については学会報告や機関誌に投稿するとともに,実践領域の利益に供するためにウェブサイトを構築し,サイト上で公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究スケジュールから調査実施に遅れが出ているため,調査関連費用については次年度執行する。また次年度は,先進事例についての訪問調査のため,海外旅費を主要な費用として計上している。より効率的な学生の情報の管理・運用モデルを構築するため,情報管理・運用に関する文献資料の購入にも使用する見込みである。加えて,本研究で得られた成果を広く社会へ発信するため,研究成果発表に係る国内旅費や校正等の費用を計上している。なお,研究代表者の所属機関が次年度より変更となり,機関が所蔵する図書資料や設備等の研究環境について変動があると予測されるため,この補填・整備として若干の支出が見込まれる。
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