2011 Fiscal Year Research-status Report
人材の成長要因に関する実証的研究-学歴と労働経験との関連性に注目して
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23730814
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
濱中 淳子 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 助教 (00361600)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育効果 / 企業内教育 / 人材育成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人材成長をもたらす要因を、学校教育経験と労働経験との両方を視野に入れつつ検討を行うことにある。その柱は平成24年度実施予定の、企業で働く人びとを対象にした質問紙調査の分析にあるが、平成23年度は、質問紙調査を作成するための準備作業として、文献調査を行った。人材成長をもたらす要因については、これまで、一方で教育経済学や教育社会学において、他方で労働経済学や経営学において検証されてきた。基本的に前者は学校教育に焦点をあてた分析を、後者は労働経験に焦点をあてた分析を展開するというアプローチをとっていたが、人材としての成長をもたらす要因は、なにも学校教育のみにあるわけではないし、労働経験のみにあるわけでもない。両者を通じての、そして両者を組み合わせた検討こそが必要であるし、そこにこれまで見逃されていた知見があることが予想される。本研究の意義を改めて述べれば、以上で述べた「両者を組み合わせた検討」を行うところにあるが、今回の文献調査は、人材成長を扱った国内外の文献を広く収集し、新しい切り口や枠組み、変数を設定するにあたって手がかりとなるような分析結果がすでに生み出されていないか。労働経験が大事だとはいえ、吟味すれば、特定の学歴取得者や職業に従事する者のみにあてはまる効果だということはなかったか。逆に、これまで検証すらされてこなかった重要な経験はないか。こうした観点からの知見の整理を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の計画より、平成23年度は、平成24年度に実施する質問紙調査作成の準備期間にあてていた。文献調査は順調に進んでおり、したがって「おおむね順調に進展している」と評価される。ただし、従来の計画の仔細を説明すれば、準備作業として「文献調査」とともに「聞き取り調査」も実施する予定であった。企業の人事担当者ならびに部下を持つ課長クラスを対象とした聞き取り調査を行い、人材としての成長がどのように実現しているか、彼/彼女らの経験からみえてくるもの=外部にいる研究者の目からはみえてこない、実際に企業で働き、若手の成長を目の当たりにしている者の立場だからこそみえてくるものを語ってもらい、そこに手がかりを見出そうと考えていたからである。しかしながら、実際に決定した配分額をみると、平成23年度の予算をできる限り平成24年度にまわさなければ、本研究の柱である質問紙調査の実施が難しくなることが懸念された。そこで、平成23年度は文献調査のみを行い、聞き取り調査に関しては、予算に余裕があれば、平成24~25年度に質問紙調査分析を補強するかたちで試みる、というように計画を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24~25年度は、次の流れで作業を行う。(1)文献調査の継続、(2)仮説構築・分析枠組みの設定、(3)企業への調査依頼、(4)質問紙調査の設計と実施、(5)データ入力、(6)分析と研究成果発信。平成24年度は、少なくとも(1)~(5)までの作業を行う。平成23年度の予算を平成24年度にまわしたこともあり、質問紙調査は、可能な限り多くの回答が得られる大きな規模のものにするよう努める。ただし、本調査は、調査協力企業があってはじめて動き始めるものであり、したがって状況次第によっては計画通り進まないことも想定される。その対応にも多くの時間が割けるよう、はやめの行動を心がける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、研究の柱である質問紙調査を、より充実した、大規模なものにするため、平成23年度分の予算のうち、約77.5万円を平成24年度にまわした。このようにして確保した約167万円は次のように使用する予定である(括弧内が予定額)。なお、旅費に関しては、本研究の調査は、都市のみならず地方の企業でも実施するために発生するものである。(1)文献購入のための費用(15万)、(2)質問紙調査の印刷費用(15万)、(3)地方の企業で実施予定の調査で発生する旅費(20万)、(4)データ入力(業者へ委託)(100万)。そして、研究を効率よく進めるために必要となるパソコン周辺機器、文具や複写費、ならびに聞き取り調査を実施した際のテープおこしに17万ほど使用する予定である。
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