2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730822
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮崎 沙織 筑波大学, 人間系, 特任助教 (90591470)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 環境教育 / 社会科教育 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ・カナダで展開されている「環境リテラシー(Environmental Literacy)」育成の理論と方法を参考にしながら、日本型環境リテラシー学習を構築することを目的としている。その目的を達成するため、平成23年度は、日本・アメリカ・カナダの授業実践の観察と教師へのインタビュー調査を中心とした研究活動を行った。具体的には、7月19日~23日に行われた世界環境教育協議会(オーストラリア、ブリスベン)に参加発表し、環境リテラシー学習の世界的動向と、アメリカ・カナダの研究者と情報交流を行った。10月22日には、日本社会科教育学会第61回全国研究大会において、環境リテラシー学習の枠組みについて発表を行い、その成果は平成24年3月31日発行の中等社会科教育研究第30号に掲載された。11月22日~12月1日には、アメリカ・カリフォルニア州で現地調査を行い、環境教育プログラムの州担当者や教師へのインタビューを行った。 以上の活動の中で、環境リテラシー学習導入のための5つの視点として、「システムとしての環境」「社会的な価値と原理の環境への影響」「市民の権利と環境」「環境に対する行動効果の検証」「環境に対する個人・市民の責任の受け入れ」は、自然システムと人間社会システムの相互関係性というヒューマンエコロジーの考え方のもと、位置づけられる視点であることが明らかとなった。また、これらの視点は、日本の環境教育の文脈においては、これまで多く述べられていなく、新たに提示・導入の意義があるものであることが明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、主にアメリカ・カナダにおける現地調査と日本における授業観察を中心的な活動としてきた。調査活動については、当初の予定にあったカナダに訪問することができなかったが、アメリカ・カリフォルニア州では、十分の調査活動を行うことができた。また、日本では、当初予定していた学校が、震災の影響で不可能となり、他の学校への変更などが余儀なくされたものの、連携協力者の協力により、十分な調査を行うことができた。そして、本年度の成果は、第6回世界環境教育協議会における研究発表、日本社会科教育学会第61回全国研究大会における研究発表と、中等社会科教育研究第30号での掲載(査読付)を通して公表し、十分な成果を提示できた。以上のことから、本年度は、おおむね順調に進展しており、予定通り次年度の研究活動へとつなげることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、昨年度の研究活動によって明確となった環境リテラシーの5つの視点を、授業実践レベルで検討し、さらには、アメリカ・カナダにおける環境リテラシー学習実践と日本における環境リテラシー学習実践の相違点とその要因を探ることにする。 アメリカ・カナダでの調査においては、社会科において環境リテラシー育成学習実践を展開している学校を訪問し、授業を観察・分析していきたい。また、その際には、単に授業を観察するだけでなく、環境リテラシー学習実践を展開する中で授業者が直面している課題について、担当教員から話を伺う予定である。同時に北米環境教育連盟の研究大会にも参加し、情報収集につとめたい。 日本における調査においては、昨年度の授業観察に協力いただいた教員と協力して社会科単元を開発し、授業を実践する。また、連携協力者を増やすことも考えている。授業観察の際には、ビデオ撮影・写真撮影を行い、授業を確実に記録した上で、授業分析を行っていく。最終的に、日本型環境リテラシー学習の枠組みを明確にさせ、他の社会科授業に応用できる汎用性の高いものにしていく。 これらの研究の中間成果については、日本環境教育学会全国研究大会等において発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、引き続き国内外で研究調査活動を行うため、50万円を旅費として執行する予定である。うち、10万円は国内の研究調査活動(協力校への旅費、日本環境教育学会全国研究大会への参加発表旅費等)にあて、40万は外国の研究調査活動(アメリカおよびカナダへの調査、北米環境教育連盟研究大会への参加旅費)にあてる。残りの30万については、研究図書資料の購入や授業分析用のソフトウェアの購入、授業記録作成用のHD/DVDレコーダーを購入する予定である。
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