2011 Fiscal Year Research-status Report
学校の暴力防止・克服プログラムの開発と実践に関する研究-ドイツの取り組みを中心に
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23730828
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高橋 英児 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (40324173)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ドイツ |
Research Abstract |
本年度は、文献収集調査と現地での予備調査を行った。文献収集調査では、バーテン・ビュルテンベルグ州の文科省や学校における暴力問題に関係する諸機関のWebサイトを中心に、学校における暴力問題及び防止教育に関する資料を収集し、同州における暴力防止教育の構想について概観した。 現地での予備調査では、愛知教育大学の藤井啓之教授に研究協力者として同行いただいた。現地では、Schwaebisch Gmuend教育大学のSchnaitmann 博士に協力をいただき、同州のSchwaebisch Gmuend地方における暴力防止教育の取り組み状況について関係機関及び関係者への訪問及び聞き取り調査を行った。Aalen市にあるOstalbkreis市役所では、同地域の暴力防止教育担当者であるSchumschal 氏およびZimmer氏らから、同地域の教育の全体構想と暴力防止教育の構想について聞き取り調査を行うと共に、Schumschal 氏がテオドール・ヘスギムナジウムで行う暴力防止ワークショップを観察した。また、Schwaebisch Gmuend教育大学のLippold博士に、ドイツにおける暴力防止教育の理念的枠組み等について聞き取り調査を行い、同氏の協力の下で、暴力防止教育に積極的に取り組んでいるモーツアルト基礎・基幹学校に訪問し、校長及びスクール・ソーシャルワーカーに同学校の取り組みの聞き取り調査を行った。この他、Bietigheim-Bissingen市のエレンタール・ギムナジウムに訪問し、スクール・ソーシャルワーカーのSteinwand氏から暴力防止教育の一環として行っているシュトライトシュリヒター(紛争調停者)プログラムの説明を受け、同氏及び同学校の生徒たちにこのプログラムに関する聞き取り調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査に関してはやや遅れが見られるが、現地での予備調査では計画以上の成果が見られたため、総合的におおむね順調であると判断した。 研究計画ではノルトライン・ヴェストファーレン州の調査も行う予定であったが、研究の協力者が得られやすいこと等の理由から、バーテン・ビュルテンベルグ州の調査に絞って調査を進めた。文献調査では、関連する資料の中でも、バーテン・ビュルテンベルグ州の暴力防止プロジェクト"stark.stärker.WIR."に関する主要な資料は収集し、暴力防止教育のプログラムの推進背景等については分析できた。しかし、プログラムの類型化に関してはまだ十分に分析出来ていないことが課題である。この同州のプロジェクトに関わって各地域での暴力問題及び暴力防止教育に関する関連資料・文献がさらに多くあることも考えられる。これらの資料をさらに集めながら、同州の統一的なプロジェクトと、各地域での独自のプロジェクトとの関係について分析していくことが課題である。また、次年度以降は、その他の諸州の資料も収集していくことも課題である。 現地調査では、当初の計画以上の成果を得ることが出来た。現地の調査の協力者であるSchnaitmann 博士に研究に関する助言をいただき、計画の打ち合わせ等を行っただけでなく、関係機関や関係者への調査を行うこともできた。また、関係機関や関係者には次年度以降の研究協力も行い、次年度以降の現地調査の具体的な見通しを得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策 文献資料の収集及び分析に関しては、日常的にネット等を利用して行っていく。なお、前年度の現地調査に関する内容は、訪問した関係機関・関係者と連絡を取り合いながら分析を進める。 現地調査に関しては、Schnaitmann 博士やSteinwand氏らに調査の協力を求め、現地での調査を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上半期は昨年度の調査でやや遅れが見られた文献調査を行う。前年度の現地での予備調査で得られた資料及び情報を元に、さらに文献資料を収集する。 10月より現地調査を行う。まず、平成23年度に訪問したバーテン・ビュルテンベルグ州の関係諸機関および学校(Aalen市にあるOstalbkreis市役所、モーツアルト基礎・基幹学校)での詳細な聞き取り調査を行うと共に、日常の教育実践を観察する。次に、バーテン・ビュルテンベルグ州の暴力防止プロジェクト"stark.stärker.WIR."を推進している暴力防止オフィスとも連絡を取り、同州の暴力防止プロジェクトで行われている各種のプログラムに関する資料を収集する。前年度に引き続き、Schnaitmann 博士らに協力を求め、暴力防止教育のモデル校や地域的特性のある学校(移民が多い学校や暴力事件が多い学校など)を中心に調査を行い、学校訪問、関係者への聴き取り、プログラム関係の資料などを収集する。なお、現地調査には、愛知教育大学の藤井啓之准教授に研究協力者として同行していただき、現地調査の資料収集の協力をしていただく。
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