2013 Fiscal Year Research-status Report
学校の暴力防止・克服プログラムの開発と実践に関する研究-ドイツの取り組みを中心に
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23730828
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高橋 英児 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40324173)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度は、H24年度の計画で示した通り、バーデン・ビュルテンベルク州および新たにニーダーザクセン州の現地調査を2月に行った。現地調査では、愛知教育大学の藤井啓之教授、東亜大学の清永修全准教授に研究協力者として同行いただき、現地の聴き取り調査と資料収集に協力いただいた。 バーテン・ビュルテンベルグ州では、ルートヴィヒスブルク教育大学のDines博士に協力を頂き、州の文科省の暴力防止オフィス(Darkashly氏、Haeberle氏)および、州刑事省(Roechling氏、Hoffmann氏ほか)、Ludwigsburg市内にあるFriedrich-Schiller-Gymnasium(Aenold校長、Werling-Barth教諭他)を訪問した。調査では、暴力防止教育、中毒防止教育、健康教育の3つの分野を軸にした柱同州の新しい予防教育構想「stark.staerker.WIR」の成立の経緯、基本構想および関係機関の取り組みの概要、また同州の青少年の暴力問題の現状などについての聞き取り調査と研究協議を行った。また、同州の予防教育構想の先進校であるFriedrich-Schiller-Gymnasiumでは、実際の取り組みの様子を観察するとともに、暴力防止教育への取り組みの経緯、プログラムの影響や効果などについて教員や生徒たちへのインタビューを行った。 ニーダーザクセン州では、Oldenburg大学のHanna Kiper教授および同大学の教員研修センターのHeinrichs氏に聞き取り調査を行った。特に、同州の青少年の暴力問題の実態や関係機関の取り組みを中心にインタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査に関しては、バーデン・ビュルテンベルク州はじめ他州の関係資料を多く収集できた。特に、バーデン・ビュルテンベルク州の州刑事庁と暴力防止オフィスへの調査を行うことができたことで、同州の構想の成立の背景および特徴、基本理念、また現在の到達点などを詳細に知ることができた。また、同州内の複数の都市での取り組みを実際に調査することで、州としての暴力防止教育の全体構想と統一的なプロジェクトと、各地域での独自のプロジェクトとの関係についてもつかむことが出来た。よって、総合的におおむね順調であると判断した。 また、新たにニーダーザクセン州の取り組みについても調査をすることができ、Kiper 教授らより、多くの有益な情報と関連資料を得ることが出来た。 これまで、現地調査を行うことができたのは、バーデン・ビュルテンベルク州、バイエルン州、ザクセン州、ニーダーザクセン州であるが、バーデン・ビュルテンベルク州以外の州においても、州の統一的なプロジェクトと、各地域での独自のプロジェクトとの関係については、いくつかの都市を事例にしながら、さらに調査し分析していくことが課題となった。その他、暴力防止教育の様々なプログラムの類型化について、さらに整理していくことも課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
〈今後の研究の推進方策〉文献資料の収集及び分析に関しては、州や地域の教育機関による暴力防止教育関係のホームページや行政資料などを中心に、日常的にネット等を利用して行っていく。また、これまでの現地調査に関する内容は、訪問した関係機関・関係者と連絡を取り合いながら分析を進める。 現地調査に関しては、これまでの調査で協力していただいた機関の方々に引き続き協力を求め、現地調査を行っていく。その際、特徴的な暴力防止教育に取り組んでいる学校を精査し、調査を依頼していく。なお、聞き取り調査に関しては、教員やスクールソーシャルワーカーによる協力は得やすいが、子どもや保護者への調査は難しい点があるため、教員を中心に調査を行う必要がある。また、暴力防止教育の効果を検討できるように暴力防止教育の評価をどのように行っているのか、という点を中心に調査を行う。 〈次年度の研究費の使用計画〉研究の最終年度であるので、これまでの成果をまとめ、継続的な研究のための基盤をつくるための活動を中心に行う。 上半期はこれまでの資料を整理し、分析を進める。特に、暴力防止教育に力を注いでいたバーテンビュルテンベルク州の取り組みを中心にまとめる。また、その過程で、必要な資料をさらに収集する。 下半期は、現地調査を行う。これまで現地調査を行った州を中心に、地域での取り組みの実際などに関する資料を収集する。これまで訪問した機関および関係者に再度協力を依頼し、暴力防止教育のモデル校や地域的特性のある学校(移民が多い学校や暴力事件が多い学校など)への調査を行う。なお、調査の進展状況によってであるが、現地協力者が見込める他の州(例えば、ベルリンなど)への調査を広げる。 なお、現地調査の際には、愛知教育大学の藤井啓之教授や東亜大学の清永修全准教授に研究助言などの協力をしていただく予定である。
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Research Products
(1 results)