2011 Fiscal Year Research-status Report
ものづくり教育における設計学習を支援するシミュレーション教材の開発
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23730830
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 准教授 (00378283)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 技術科教育 / ものづくり教育 / ソフトウェア / 教材開発 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、中学校技術科の構造設計学習を支援するソフトウェアの開発と、それを活用した教材開発を目標とする。そのため、教材開発、ソフトウェア開発と中学校技術科教材としての評価を2年間の研究期間において実施する計画である。 そこで初年次は、コンピュータシミュレーションを利用した強度設計に対する理解を支援するソフトウェアを開発し,予備実践を行い,その効果について調査した. ソフトウェアの開発においては、インタラクティブな操作性と、視覚的に構造と強度を理解できるよう、ソフトウェア開発し、精度検証を実施した。実際にアクリル樹脂を用いた3点曲げ実験とシミュレーション結果の比較により、開発したソフトウェアが十分な精度を有していることを確認した。また、開発したソフトウェアを中学校技術科の授業で実践するにあたり、本教材を活用した授業案を作成し、現職の中学校教員とともに教育課程での位置づけや授業計画について意見交換した。さらに予備実践として、中学校技術科の授業において開発したソフトウェアを使用し、構造と強度の学習に活用し、その有効性について検討した。 その結果,コンピュータシミュレーションによる仮想ブリッジコンテストを行ったことで,より丈夫なブリッジを製作することができ,ものづくりの問題解決の質が高まったと考えられる.また情報技術がものづくりの問題解決の質を高め,現代の産業を発展させてきたことに気付かせることができたと考えられる.さらに生徒の記述を分類すれば,単にコンピュータシミュレーションに関連する内容だけではなく,技術の社会的役割や技術的思考,身の回りの製品開発に対する興味・関心も示していることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、中学校技術科の構造設計学習を支援するソフトウェアの開発と、それを活用した教材開発を目標とする。そのため、教材開発、ソフトウェア開発と中学校技術科教材としての評価を2年間の研究期間において実施する計画であり、研究初年度は、おおむね順調に進展していると考える。 そこで初年次は、コンピュータシミュレーションを利用した強度設計に対する理解を支援するソフトウェアを開発し,予備実践を行い,その効果について調査する計画を立て、遂行した. ソフトウェアの開発においては、インタラクティブな操作性と、視覚的に構造と強度を理解できるようソフトウェアを開発し、精度検証を実施した。特に、インタラクティブな操作性については、試用した中学校技術科教員や生徒からも数分の説明後には自在に操作できるようになったことを確認できた。また精度検証については、実際にアクリル樹脂を用いた3点曲げ実験とシミュレーション結果の比較により、開発したソフトウェアが十分な精度を有していることを確認した。さらに、開発したソフトウェアを中学校技術科の授業で実践するにあたり、本教材を活用した授業案を作成し、現職の中学校教員とともに教育課程での位置づけや授業計画について意見交換した。最後にに予備実践として、中学校技術科の授業において開発したソフトウェアを使用し、構造と強度の学習に活用し、その有効性について検討した。 以上のことから、当初の研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
開発教材の有効性の確認に加え、一般論としてのシミュレーション活用ではなく、また単にソフトウェアの開発とその活用方法について検討するだけでなく、中学校技術科においてシミュレーション技術を導入することの意義と課題について明らかにしたい。 中学校技術教育においては、シミュレーション活用といえば、材料に対する感覚や技能の育成が阻害されるなどの評価をされることが多い。しかしながら、現代の技術開発・ものづくり現場といった現実社会においてシミュレーション技術が果たしている役割を学習することは非常に重要である。また、本開発教材は単にシミュレーションを活用するだけではなく、生徒の製作物との性能比較・評価が実施できるところに長所がある。シミュレーションにより得られる理論的な結果と、実際の製作物との結果を比較することにより、シミュレーション技術の現状と生徒自身の技術力について考える端緒としたい。 上述の目的を達するために、まず中学校技術科の授業での実践に向け、また本開発教材の改善を目的として、中学校教員を対象とした調査を実施する。本調査では、開発したソフトウェアを実際に使用し、ユーザーインターフェースの改善や、シミュレーション技術を中学校技術科の教材として導入することの意義と課題についても調査を行う。さらに、シミュレーション技術を援用した中学校技術科の授業のあり方についても、質問紙や授業実践などの調査により、足がかりをつくり、今後のこの分野の進展に寄与したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、研究計画上の最終年度であるため、これまでの成果をまとめるとともに、この成果を関連学会の研究発表会や雑誌等を通じて公表することを目的として研究費を使用する予定である。 そのためには、開発したソフトウェアのさらなる改良のために、精度評価のための実験用装置および、ソフトウェア開発関連機器に経費を使用する。また、雑誌投稿や発表会出席のための経費として研究費を使用する計画である。
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