2012 Fiscal Year Research-status Report
発達段階にふさわしい音声言語教育のための小学校英語活動教材開発とカリキュラム作成
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23730832
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
生馬 裕子 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (60549088)
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Keywords | 小学校外国語活動 / 音声知覚学習 / 学習効果 / 外国語学習経験 / 評価 |
Research Abstract |
昨年度から引き続き、申請者が英語活動の計画・実践を支援・実施している小学校において、児童の英語運用能力について、定期的・定量的な観察・教育効果評価を蓄積したデータベースの構築を行った。データベースの構築は、最終年度である2013年度も継続的に実施する。 CALL(Computer Assisted Language Learning)教材等のICT教材・教具を活用し英語を聞き話す活動を行っている間に、音声的特徴に注意させた活動に取り組む種類・頻度と習得度との関連を調査したデータにを解析し、教育方法と児童のパフォーマンスとの相関について分析を行った。学習効果を検討する上で、今年度、特に焦点を当てたのは、アルファベット文字の認識、文字の聴取認識、英語のリズムの認識といった音声知覚能力に加え、英単語の聴取・理解といった技能の習得・定着の程度にも注意を向けた。その際、実験協力校の小学校においては高学年のみでなく、中学年から英語活動が実施されているため、学年ごとに発達段階に応じての分析を行った。また、同じ学年であってもそれまでの学習年数や、学校外での外国語学習の状況によって教育効果に影響を与えることが予想されるので、児童の外国語学習歴の要因も考慮するようにした。これらの技能面における変化の調査に加えて、学年ごとに、児童らの英語活動に対する関心・意欲・態度面に関するアンケート調査も行い、当年度の実践の評価と、次年度以降の実践計画・教育カリキュラム作成のための資料とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり、学級での英語活動を経験している児童について、個々の発達段階や英語学習歴、コミュニケーションの意欲・態度面を記述したデータベースの構築を継続的に進めている。英語活動が行われている全学年(第3学年から第6学年)において、定量的データ収集を行うことができた。加えて、児童の行動データに基づき、教授法と技能の発達を関連づけた考察を開始した。 教材開発には実験開始初期から携わり、継続している。授業実践・支援にも継続的に携わった。年間を通じてコンピュータを利用して行う英語活動の授業(毎週1回)にはゲストティーチャーとして毎回立ち会い、小学校の英語専科教諭とのティームティーチングを行った。開発教材とテスト開発も授業実践中に試用しフィードバックを得つつ改良を重ねてきた。 音声教育・評価に関する部分のカリキュラムのプロトタイプを試作・実践し、問題点を洗い出すとともに、改良を重ね、小学校段階で評価すべき音声言語能力の項目を精査した。当小学校の児童の実態に応じて、カリキュラムの構築・改善を行い、最終年度の教材・カリキュラムの完成へ向けた基礎資料とした。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者が定期的に指導助言や実践支援に携わる複数の小学校において、実践と研究を往還させ、発達段階にふさわしい音声言語教育のための小学校英語活動教材開発とカリキュラム作成を完成させる。下記に設定した3つのサブテーマ; (1)児童の音声英語運用能力データ、コミュニケーションへの意欲・態度等の情意面の変容についてのデータを定量的に収集・分析し、教授法と技能発達の相関に関するデータベースを構築し、研究のための基礎資料とする。単年度のみでなく、経年変化も記録していく。 (2)発達段階に適した音声言語教育の内容・程度・方法を明らかにした上で、教育目標達成を支援する教材開発を行う。教育目標が達成されたか評価する方法の適性・信頼性を検証し、適性が確認されたテストセットを用いて児童の音声言語技能を測定する。 (3)授業実践支援を継続して行いながら、小学校外国語活動のカリキュラムを改良する。 のもとで進行してきた成果を総合的に解析・集約して、最終的には教材・カリキュラムの完成まで至る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教材開発・カリキュラム策定にあたり研究推進に必要な資料として、新刊の専門書・研究書を充実させる。 英語活動担当教諭による指導の様子や児童の英語運用の状況を客観的に振り返ったり、複数の評価者によりパフォーマンス評価を行ったりするためにデジタルムービーカメラで撮影した、授業中等の行動記録を保存する媒体(USBメモリ、DVD-R、SDカード等の記録メディア類)を購入する。 研究期間を通じ英語活動支援のための教材・教具の拡充、教材作成のため文房具類が必要となる。資料整理や実践補助のための補助作業に対して謝金を支払いアルバイトを雇用する。 公開授業参観や国内外の学会にて情報収集・研究成果発表を行うための旅費、学会参加費、成果発表のための論文投稿料、外国論文の校閲のための謝金が必要となる。研究協力機関への資料送付・連絡等に通信費が必要となる。 なお、各費目が全体の研究経費の90%を超える場合等には該当しない。
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