2011 Fiscal Year Research-status Report
英語口頭運用能力に関する評価尺度の開発方法の精緻化と評価データベースの再構築
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23730834
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
猫田 英伸 島根大学, 教育学部, 准教授 (80452598)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 英語教育学 / スピーキング / 主観的評価 / 潜在ランク理論 / 多相ラッシュモデル |
Research Abstract |
当初の研究実施計画に示しているとおり、本研究の最終的な目的は、学校教育現場において学習者のスピーキング技能の熟達度を、種々の言語タスクを用いて簡便に評価できる共通参照尺度を開発することである。3年間の研究計画の初年度である平成23年度においては、以下の3点を行うこととしていた。(1) 関連図書を収集し、文献研究を行う。 (2) 国内外の言語テスト等に関わる学会に足を運び、継続的に情報収集を行うとともにテスティング専門家との情報交換を行う。(3) 手元の評価データセットを一般化可能性理論、項目応答理論、潜在ランク理論によって分析し、その結果を様々に組み合わせて考察することで、どの手法がどのような特徴を持つデータセットを分析した場合にどのような結果を返すのかを探る。これにより、平成24年度以降に評価データベースの拡張を行うに際しての適切なデータ収集の方向性を検討する。各点における研究実績は以下のとおりである。(1) 文献収集を行うとともに、潜在ランク理論が用いている統計モデルの一つである自己組織化マップ(self-organizing map: SOM)について、専門家による講習を受講し、知識の習得に努めた。(2) 平成23年度中は中国地区英語教育学会、全国英語教育学会、大学英語教育学会などに参加することで情報の収集を行った。また、広島大学英語教育学会では本研究課題の成果の一部を発表した。(3) 広島大学英語教育学会で発表した内容を当該学会の学会誌(査読あり)に投稿し、掲載された。(なお、当該学会には本研究課題が扱う研究手法に精通した研究者がおられたため、当該学会誌に論文を投稿した。)また、英語音声に関する専門知識を活かし、小学校外国語活動に関する著書の分担執筆を担当した(「第13章 音声の指導」を担当)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の欄に記載したとおり、ほぼ当初の計画通りに研究が進んでいる。唯一、計画と異なった点は、平成23年度中に海外のテスティングの専門学会に参加できなかったことである。しかし、平成24年度4月早々にアメリカのプリンストンで開催されたLanguage Testing Research Colloquiumに参加することができ、ヨーロッパとアメリカの研究者の間にある、いわゆるCan-doリストの開発・運用に対する認識の隔たり(に基づく種々の議論)を目の当たりにすることができた。貴重な情報を多く収集できたこともあり、今後、本研究課題を進めていく上での支障は無い。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに研究を進める予定である。具体的には各種学会に参加することで情報の収集を継続するとともに手元の評価データの拡張(新規データの収集)、および分析を行う。一昨年度より、本学附属中学校におけるスピーチコンテストの審査員も務めていることから、これらのパフォーマンス・サンプルについても分析の範疇に加えることを検討している。ただし、その折にはパフォーマンス音声が未成年のものであることに鑑み、その取り扱いについては附属学校教員とよく相談の上、生徒のプライバシーの保護には最新の注意を払う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「現在までの達成度」の欄に記したとおり、すでに平成23年度からの繰越研究費の金額分は4月初旬の海外出張により執行済みである。執行時期が計画と若干ずれてしまったものの、今後の研究費の使用計画を変更する必要はない。
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