2012 Fiscal Year Research-status Report
英語口頭運用能力に関する評価尺度の開発方法の精緻化と評価データベースの再構築
Project/Area Number |
23730834
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
猫田 英伸 島根大学, 教育学部, 准教授 (80452598)
|
Keywords | 英語教育学 |
Research Abstract |
平成24年度の研究上の主たる目標は中学校、高等学校、大学における英語学習者のさまざまな英語スピーキング・パフォーマンスの音声、映像データを収集することであった。この点において、実際の中学生の英語音声データを多数収集できたことから平成25年度の研究に向けて大きく一歩前進したと言える(延べ音声ファイル数は約160個)。ただし、他方、種々の現実的な制約(協力校における教育カリキュラムや教育目標に沿う形で調整した結果)から収集できた音声データはいずれもスピーチや音読といった一方向的な発話に限定されることとなってしまった。このことから今後当該研究課題を進めていく上で若干の計画の修正が必要ではあるが、研究の焦点を英語発音の質(分節レベル、超文節レベルなど)に絞り込むことでむしろ精緻な研究成果を上げることにつなげることが可能となったと考えられる。本研究の最終的な目標が「多様な言語タスクにおけるさまざまな学習段階の英語学習者の英語の口頭パフォーマンスを評価する際に使用できる尺度の開発」であることに鑑みると、すでに大学生レベルの学習者の英語母語話者とのインタビュー音声が収集済みであるため、平成24年度において中学生レベルのスピーチ・音読音声を収集できたことは研究全体で見ると非常に貴重であった。 また、他方でスピーチに対する評定者の主観的評価を分析する手法についても、新たに自己組成化マップを用いたデータマイニング手法の併用を検討し、その成果を学会において発表することもできた。論文化にも着手しているものの、他の業務に追われ、まだ投稿できるまでには至っていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに平成24年度に収集した生の音声データ(中学生のスピーチ音声)を英語母語話者(NS)3名、日本人英語教員(NNS)2名に評価に着手していただいており、一部分析を開始している。この【評定者5名(NS3名、NNS2名)×中学生140名】×3セットの評価データに加え、【評定者6名(NS2名、NNS4名)×中学生約20名】×2セットの評価データ、そして生の全音声データがほぼすべて手元に揃っている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度が本研究課題の最終年度である。英語学習者の英語パフォーマンス音声データの収集にさまざまな苦労はあったが、何とか当初目指していた生の音声データと、それらに対する英語母語話者、日本人英語教員による評価データを入手することができた。今年度はこれらのデータを、過去に入手したデータと合わせて種々の分析を行っていく予定である。すでに平成24年度の研究手法の検討の段階で、英語を母語とするか否かに関わらず「英語音声の周波数や音圧と評価」の間に一定の関係が存在することなどが確認されている。この点を含め、いわゆる「主観的評価」と呼称されてきた評価の結果が、実は英語音声の「客観的特性」に基づくものであることを示し、それゆえ、評価者がそのような「客観的特性」を意識して(適切な尺度を用いて)評価の視点を統一していくことで、本研究が目指すような共通参照尺度の作成が可能であることを示したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|