2011 Fiscal Year Research-status Report
幼稚園黎明期における造形表現の特質とその展開過程に関する研究
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23730844
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
牧野 由理 東京都市大学, 人間科学部, 助教 (80534396)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 幼稚園 / 明治期 / 美術教育史 / 幼児教育史 |
Research Abstract |
本研究課題は、近代日本における幼稚園教育の造形表現の特質とその展開過程を、幼稚園で使用していた一次史料の調査・図版分析と、小学・中学の「図画科」及び「手工科」との比較検討を通して明らかにするものである。平成23年度は研究計画に沿って明治初期に開園した幼稚園の一次資料を収集し造形表現に関して調査・検討した。明らかになったことは以下のとおりである。1.大阪市立教育センターを訪問し愛珠幼稚園の保育記録と描画作品を中心に調査・データ化し検討を行った。その結果、明治37年から41年までの保育記録の分析から「画方」ではほとんどが「随意」で行われ幼児にとって身近なものや戦争に関するものを題材としていた。また自然物等の実物や縦覧室(標本室)の標本等を手本として描かせるという教授方法により、実物主義がとられていたと推測する。描画作品の分析より、ディティールの描写から幼児が軍艦の形体そのものに強い興味を持っていたことが明らかとなった。2.土浦西小学校附属幼稚園に関しては資料が寄託されている土浦市立博物館を訪問し、明治期に作成され図画に使用していたと推測される掛図の調査を中心に行った。現在まで明らかにされていなかった掛図の解説書の特定調査を行い、うち2点を確認した。また図版分析により「幼稚園手技掛図」では「画方」と他の手技との関連を図っていたことがわかった。3.京都府舞鶴市立舞鶴幼稚園および島根大学教育学部附属幼稚園については各々の幼稚園を訪問し一次資料の収集を行った。島根大学教育学部附属幼稚園園長・佐々有生教授(美術教育)に収集した資料内容の説明を行い島根県の美術教育の特性について確認をした。 以上の実証的な調査・検討による解明は従来の近代造形教育史研究において取り組まれておらず、今日の造形・美術教育を検討する上でも重要性が認められよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画である明治初期に開園した幼稚園の一次資料の収集について、ほぼ目標を達成することができた。また「図画」についてはその一部を博士論文として収録しており着実に成果を上げている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策についてであるが、平成23年度に収集した対象園の所蔵資料を図版分析し整理する。その研究成果を論文や学会発表等で公表していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、平成23年度に収集した資料を整理・分析し研究成果を論文や学会発表等で公表していく予定であり、そのために研究費を使用する。
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Research Products
(3 results)