2011 Fiscal Year Research-status Report
美術科教育と生涯美術社会との接続に関する社会実験研究
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23730847
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
竹内 晋平 佛教大学, 教育学部, 講師 (10552804)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生涯美術社会 |
Research Abstract |
当初提出した応募ファイルに記載された通りの進捗で研究活動を進めることができた(研究計画・全5分節のうち,1~3.1を完了)。 具体的には,現代日本における社会での芸術の位置づけについての文献研究を行った。先行研究からは,高等学校における公開講座等を通して社会に向けた芸術発信が既に試行されていることを確認した。ただし,"芸術に関心が高くない層"への発信方法としては,さらに検討の余地があることも示唆された。 美術科教育から社会への接続を検証するための調査(社会実験)としては,京都府内A小学校と京都府内B小学校,および京都府内C寺院の協力を得ながら展開することができた。上記,A・B小学校における図画工作科で水墨画を扱った授業実践を行ない,その後にC寺院での「水墨画ワークショップ」を開催した。A・B小学校に参加を呼びかけたところ,C寺院を校区に含むB小学校のみで参加希望があり,A小学校からは参加希望がなかった。ワークショップ終了後,保護者へのインタビューを行ったところ,児童の感受にふれることや共に表現活動を行うことによって,芸術体験への志向が高くなる傾向が認められた。また,小学校教育との関連がある芸術発信であることや小学校区内という近距離・生活圏内での開催が有効であることも示唆された。 また,A・B小学校における水墨画を扱った授業実践においては,オノマトペを活用した身体感覚(筆使い,水の感覚等)の指導を行った。指導風景のビデオ採録を行い,画像・発話分析を行ったところ,オノマトペによる感受伝達の可能性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で明らかにしたいことは以下の2点である。1)児童の「学ぶ姿」を発信すること通した「美術の社会化」の効果を検証すること: 児童作品ではなく,児童の美術との出会いや関わりを中心とした情報発信を行う社会実験を行うことによって,市民が美術に対してどのような態度を示すのかを明らかにする。2)美術科教育と社会との接続によって創出される新たな意義を明らかにすること: 複数回の社会実験における児童・参観者の反応を分析し,美術科教育と市民の生涯美術学習が接続されることによって生まれる美術科教育の新たな社会的意義を明らかにする。 現在までに,上記2点を並行して研究活動を展開した。上記2点を明らかにする上での達成度はいずれも50%である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初提出した応募ファイルに記載された通りに研究活動を進める予定である(研究計画・全5分節のうち,3.2~5を計画)。 また,当初予定したA・B小学校に加え,新たに京都府内C小学校にも研究協力を依頼し,美術科教育と成人の日常との接点を検証する社会実験を行う予定である。 社会実験と並行して,これまでに得られたデータをまとめ,学術論文の執筆および学会等での口頭発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・図画工作科授業実践およびワークショップに必要となる消耗品費・補完的に必要となる書籍費・研究成果作成のための文具費・研究成果発表のための旅費・その他
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Research Products
(2 results)