2011 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブ教育の展開に応じた通常教育教員養成システムの開発的研究
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23730862
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉利 宗久 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60346111)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | インクルーシブ教育 / 国際情報交流(米国) |
Research Abstract |
本年度(初年度)は、我が国におけるインクルーシブ教育の推進に向けた教員養成カリキュラムの開発のために、通常学校における特別支援教育の状況と課題を探った。とくに、通常学校における特別支援教育の進展に重要な役割を果たす特別支援教育コーディネーターを中心に、校長、養護教諭、保護者に対する質問紙調査の結果を分析し、学校関係者の意識を明らかにした。 まず、小・中学校の養護教諭に対する質問紙調査を通して、特別支援教育における養護教諭の活動実態と今後の課題を探った。養護教諭が特別支援教育コーディネーターとして校内外の多様な業務を担うよりも、校内委員会のメンバーとして、学校保健に関する専門性を活かす仕組みの構築を現実的な課題として指摘した。すなわち、養護教諭が特別支援教育コーディネーターとして適任であるとの意見もある現状に対し、学習活動を中心とする支援の難しさもみられることから、通常学級担任を中心としたチームとして取り組みを進める必要性を改めて指摘した。 また、高等学校における特別支援教育の理解状況と改善課題について、校長、特別支援教育コーディネーター、保護者〔PTA会長〕に対して5件法による質問紙調査を実施した。結果、各群の大多数は共通して教職員の意識向上の必要性を示したが、その現状評価に対して保護者は校長よりも低い得点であった。さらに保護者は、校長やコーディネーターよりも校内外の支援体制や情報の活用に関する低い得点を示す一方、多様な試験形態や評価方法の導入の必要性には高い得点を示した。 これらの基盤的な成果を踏まえ、通常学級担任教員が求められているスキルをさらに究明し、我が国の実態に即した教員養成の視点を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内における状況と課題の一部を把握することができた。2年次以降、海外の知見も参考としながら、インクルーシブ教育に即した実践的検討を進める段階に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果を踏まえ、アメリカ合衆国を中心とする海外の取り組みを参考として、我が国におけるインクルーシブ教育の推進条件と教員養成の課題を整理する。そのため、海外の研究者との情報交換、共同研究にも具体的な取り組みを進める方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度は、科学研究費補助金とは異なる学内予算を獲得することができたため、補助金(旅費)の一部を次年度に持ち越し、より有効に使用することが可能となった。そのため、海外の研究者との交流、共同研究にも取り組みながら、研究課題の解明のために適切に執行する計画である。
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