2012 Fiscal Year Research-status Report
自閉症スペクトラム障害におけるソーシャルブレイン障害の解明と療育方法の開発
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23730864
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菊池 哲平 熊本大学, 教育学部, 准教授 (70515460)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / ソーシャルブレイン / 自己理解 / 自尊心 / 模倣 / こだわり行動 |
Research Abstract |
本年度は実践研究として、高機能自閉症・アスペルガー障害児に対するグループプレイセラピーを昨年度に続けて実施し、特にこだわりや対人関係面へのアプローチを狙いとしたソーシャルゲームについてその効果を検証した。その結果、ソーシャルゲームを通して勝ち負け等に対するこだわりが減少し、また対人関係面についても改善がみられるなどの効果がみられた。またソーシャルブレインと特に関係の深い模倣能力について、2名の就学前自閉症幼児を対象に模倣遊びを中心としたコミュニケーションの発達促進プログラムを実施し、模倣による関わりで対人的コミュニケーション能力が促されることを見いだした。また発達障害児の自己意識と関連の深い自尊心について、多面的な角度から分析を行うことが可能な「多面的自尊心尺度」の開発に取り組み、発達障害児に対して適用可能かどうかを検討した。この多面的自尊心尺度は、翌年以降のグループプレイセラピーの効果検証にも用いる予定である。また自閉症スペクトラム障害におけるソーシャルブレイン障害のメカニズム解明のための基礎資料として、高機能自閉症児/アスペルガー障害児の保護者からこだわり行動の出現に関する発達的経緯に関する回顧法を用いた後方視的研究も行った。その結果、高機能の場合であっても特異的なこだわり行動の出現が早期からみられるが、徐々に対人的意識が強まる小学校入学後は他者からみて特異的とは思われないような対象に移行することが伺われた。これらの知見は、平成25年度に特殊教育学会、発達心理学会などの関連学会にて報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究成果をうけて研究内容を実践研究中心にシフトし、また自閉症スペクトラム障害児におけるこだわり行動を重要なトピックとして加え得たものの、概ね研究計画全体は当初の予定通りに進行している。現段階の結果についても、概ね満足する結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた知見をもとに、実験研究および臨床実践研究について実施していく予定である。研究フィールドは確保しているので、概ね順調に計画が遂行されるものと確信している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
若干の未使用額が残ったものの概ね計画通りに研究費は使用しており、特に当初の予定と変更する予定はない。
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Research Products
(2 results)