2013 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害におけるソーシャルブレイン障害の解明と療育方法の開発
Project/Area Number |
23730864
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菊池 哲平 熊本大学, 教育学部, 准教授 (70515460)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 発達障害 / ソーシャルブレイン / クラスワイド支援 / グループプレイセラピー |
Research Abstract |
平成25年度では、本研究のまとめとして発達障害児に対する自己理解の促進や社会性の向上のためのグループ・プレイ・セラピーについて、その方法論とその意義、効果をまとめると共に、自閉症スペクトラム障害児における障害メカニズム解明のための基礎実験(顔認知、言語理解)を行った。また情動表出を高めることを狙いとして個別セラピーについて、その方法論と効果について分析を行った。また通常学級における発達障害児の支援体制作りに関する基礎資料としての学級担任へのアンケート調査、及び複数在籍する発達障害児への支援方法としてのクラスワイド支援のあり方について、実践的研究を行った。 研究期間全体を通じて、自閉症スペクトラム障害児における社会性障害は、各発達的コンピテンス(自己理解、意図理解、情動表出、言語理解など)が特異的な様相を示すだけでなく、それらが発達的関連性を強く持つことがなく独立した状態にあるため、ひとつのコンピテンスに対する支援を行ったとしても、その効果が般化することが少ないこと、すなわちソーシャルブレインの障害としての自閉症スペクトラム障害の特徴が示唆された。そのため各種のコンピテンスを有機的に連携させるために、実際の社会的場面でセラピストの個別的な支援を受けながら情動表出の促進や自己制御能力の獲得を狙いとするグループ・プレイ・セラピーが効果的であり、また通常学級における支援のあり方として、補助員(学級支援員、クラス・サポーターなど)と担任教員が連携して支援に当たるクラスワイド支援の有効性が示唆された。
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