2012 Fiscal Year Research-status Report
リーマンゼータ函数の微分から生じる新約数問題に関する研究
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23740009
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
南出 真 京都産業大学, 理学部, 講師 (80596552)
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Keywords | リーマンゼータ / ゼータの微分 / 約数問題 / ゼータの零点分布 / カタラン定数 / マース形式 / 国際研究者交流 / インド |
Research Abstract |
リーマンゼータ函数の一階導函数を二乗に約数函数 d(n) の類似函数が現れる。それを D(n)と記す。本研究課題の主たる目的はD(n) に関するヴォロノイ公式を導くことである。これは解析的整数論における重要な問題である約数問題を地盤とした新たな問題であり、ゼータ函数の導函数を詳しく調べるものである。ゼータ函数の導函数の研究も重要視されているので、この研究課題は重要であると思われる。2011年度に、D(n) の部分和に対する漸近公式、その誤差項R(x) に対する有限型ヴォロノイ公式、及びその2乗平均を得た。2012年度にこれらの成果を一編の論文としてまとめて投稿した。さらに、この有限型ヴォロノイ公式を無限級数型にする試みを行った。ゼータ函数を微分したことによりディガンマ函数が複数個現れ、そこに困難が生じたため無限級数型のヴォロノイ公式を得ることは出来なかった。またこれらの試行の中でR(x) の一乗平均を一般ベッセル函数で表すことを試みたがこれも良い成果にはたどりつかなかった。q>2 とするとき、D(n)と(x-n)の q-1べきとの積の平均を一般ベッセル函数で表す公式までは示したがそこで研究が停滞している。また、この研究課題の派生問題としてインド・ハリシュチャンドラ研究所のチャクラボルティー氏とマース形式のL函数についてメビウス函数の平均を考えるという問題を2011年に行ったがその研究成果がProc. Indian Acad. Sci. (Math.Sci) に掲載されることが決まった。また, この研究を名大藤澤雄介氏とデデキントゼータ函数に対して行い、得られた成果を投稿した。さらに、主たる研究課題からやや外れてしまったが、名大谷川好男氏、沖縄工高専古屋淳氏とカタラン定数と多重L 値の関係について調べ、それらの研究結果が Ramanujan J. に掲載されることが決まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の基本テーマである新約数問題について, 無限級数型のヴォロノイ公式を得る試みであったが達成出来なかった。また、その過程でR(x)の一乗平均を一般ベッセル函数で表そうとしたが、得られた公式からはそれを導くことは出来なかった。しかし、研究課題から派生する研究については論文掲載の通知をもらった。
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Strategy for Future Research Activity |
2012度に成し遂げられなかったR(x) の無限級数型のヴォロノイ公式、一乗平均について引き続き研究を行う。ゼータ函数の微分を2乗したことによる複雑さが強く影響していることが判明したので、ζ(s) と ζ'(s) の積に関するヴォロノイ公式を考察したいと考えている。また、これまでに得られた公式を活用して、(ζ'(s))^2 のティッチマーシュ型の近似函数等式の証明を試みるつもりである。インドハリシュチャンドラ研究所のチャクラボルティー氏とはマース形式のL函数のメビウス函数の和の研究など続きの研究を行いたい。名古屋大藤澤氏とは代数体のメビウス函数の研究を引き続き行いたいと思う。名古屋大谷川氏、沖縄工高専古屋氏とはカタラン定数と多重L値に関する研究を継続したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内出張40万円, 書籍5万円, 海外出張30万円, チャクラボルティー氏招待費用(京都滞在費)25万円(2012年度にチャクラボルティー氏を京都に招待する予定であったがそれが出来なかったため.)
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Research Products
(2 results)