2013 Fiscal Year Annual Research Report
リーマンゼータ函数の微分から生じる新約数問題に関する研究
Project/Area Number |
23740009
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
南出 真 京都産業大学, 理学部, 講師 (80596552)
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Keywords | リーマンゼータ / ゼータの微分 / 約数問題 / ゼータの零点分布 / マース形式(インド・アラハバード) |
Research Abstract |
2013年度の研究の目標はリーマンゼータ函数ζ(s)の一階導函数ζ'(s)の無限級数型のヴォロノイ公式を得ることであったが, それを得ることは出来なかった. ゼータ函数を微分することで対数が現れるが, その為に生じる函数の解析性の問題を解決出来なかった. この研究は古くからあるディリクレの約数問題から生じた新しい問題であるが, その難しさが明らかになり研究の重要性が深まったと思われる. 約数問題との関連より, インド・アラハバードのハリシュチャンドラ研究所のチャクラボルティ氏とマース形式のフーリエ係数の絶対値のべき乗の平均に関する不等式を得た. これはサンダララジャンの量子エルゴード性に関する論文の一つの定理の一般化である. この結果は現在投稿中であり, 日本数学会の年会(学習院大, 2014年3月18日)でも発表した. チャクラボルティー氏とは2011年にマース形式のフーリエ係数に関する素数定理の研究を行ったが, それを近畿大学(2014年6月30日, 飯塚)で講演した. また2012年度に名古屋大・谷川好男氏, 沖縄工業高等専門学校・古屋淳氏と行った正弦函数に関する積分と多重L値に関する研究を京都産業大学で開かれ集会 (2013年6月30日), およびインドのハリシュチャンドラ研究所のセミナーで発表した(2013年9月26日). 谷川氏, 古屋氏とはゼータ函数の一階導函数の約数問題をさらに拡張する研究を行った. ゼータ函数のk階微分, l階微分の積を考え, そこから新しい約数函数 D(k,l)(n)を考案し, その平均に現れる誤差項の表示と評価について研究した. そして, ディリクレ約数問題におけるチャウラ・ヴァルム公式に対応するものを得た. さらにそれより, 一階導函数の場合の誤差項の評価の改良に成功した (Math. Slovaca に掲載決定.).
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Research Products
(9 results)