2012 Fiscal Year Research-status Report
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23740016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川ノ上 帆 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (50467445)
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Keywords | 代数幾何学 / 特異点解消 |
Research Abstract |
本課題ではイデアリスティック・フィルトレーション・プログラム(以下IFP)に沿って任意標数の代数閉体上の特異点解消について研究を行う。平成24年度も申請時の予定通り整閉包を用いるアルゴリズムと微分閉包のみを用いるアルゴリズム双方について考察を継続した。前者に関しては単項型非特異性原理という成果を得て、現在論文にまとめ投稿中である。後者に関しては前年度の成果である曲面の埋め込み特異点解消の発展として未解決である3次元多様体の埋め込み特異点解消について歩を進めたが、こちらは未だ部分的な結果に留まっている。以下、上記の内容についてより詳しく述べる。 IFPの基礎的な結果の一つに非特異性原理がある。これは微分飽和の条件の下で、単項型を除く最終状態での爆発の中心の非特異性を保証するものである。今回得た単項型非特異性原理は、整閉包かつ対数微分飽和という条件下において単項型での中心の非特異性を保証する。現時点では整閉包を組み込んだ非増加な不変量が確立していないのが難点であるが、任意次元での特異点解消アルゴリズム確立に向けての大きな進展と考えられる。 曲面の特異点解消は相対微分飽和の下でIFPを走らせ単項型を補助的な不変量を用いて解析するという方針で証明した。3次元多様体の単項型でも同様の解析を適用するべく共同研究者の松木謙二教授と議論を進めた。その結果、全空間4次元で先頭生成系が1元の場合だけが本質的であること、この場合爆発の中心が幾何的にはほぼ一意的に決まること等の部分的結果を得た。しかしこの場合の補助的な不変量は未だ得られていない。 対外的な研究活動に関しては、6月にチロルで行われたクレイ研究所夏の学校に講師として招待され、IFPの入門講義を行った。また11月にはウィーンのシュレディンガー研究所で1ヶ月間の研究チームを組織した。 以上が平成24年度の研究実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
整閉包を用いたアルゴリズムに関しては、未だ確定した不変量を得るには至っていないが重要な進展を得たと考えている。一方で、微分飽和のみを用いたアルゴリズムに関しては3次元多様体の埋め込み特異点解消について期待した程の進展は無かったので、綜合して概ね順調と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の推進方策を踏襲し、微分飽和(相対微分飽和)のみを用いたアルゴリズムでの3次元多様体の埋め込み特異点解消及び整閉包を用いたアルゴリズムでの任意次元での特異点解消の二本柱で研究を進める所存である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大きな部分は9月にレーゲンスブルグ大学で予定されている正標数三次元の場合の特異点解消に関するワークショップへの参加など海外出張に費やす予定である。
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